2015 Fiscal Year Research-status Report
人間行動モデルに基づく人間との親和性の高い自律走行車車両運動制御システム設計手法
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26330298
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
早川 聡一郎 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50288552)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 人間行動 / ハイブリッドシステム / システム同定 / 行動モデル / 行動解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は人間に類似した運転を行う自律走行車用車両運動制御システムを設計する手法の実現を目的としており、本年度は昨年度構築された旋回行動モデルが有効に機能するかの検証、その他の運転行動モデルの構築と車両運動制御システムのハイブリッドモデル構造の決定を行った。 昨年度までの研究で構築された旋回行動モデルが妥当か検証するため、より細かく走行環境の設定変更が行えるドライビングシミュレータ用交差点走行環境を構築し、その環境でモデルの妥当性を検証した。結果として、ドライバの視点移動タイミングとステアリング操作切り替えタイミングが異なっていることが分かり、運転行動モデルのモード数を昨年度の3モードから5モードに変更することになった。このため、視線計測情報よりドライバがどの外部環境情報に着目して旋回行動を行っているか再考察した。その結果、ドライバは目標経由地点毎で車体目標角度を定め、現在の車体角速度から推定される目標地点での予測車体角度と現在の車体角度の差からステアリング角速度を決定していると推定し、フィードバック構造を有する新たな旋回行動モデルを提案した。この新たな旋回行動モデルの同定を行い、そのモデルを車両運動制御システムに実装し、ドライバが運転操作を行った走行軌跡に対して誤差が少なく走行できることを検証し、提案モデルの有効性を示した。 また、発進、定速走行、追従走行などの運転行動モデル構造についても提案を行い、実際に同定したモデルでドライバの運転行動を再現できることを検証し、提案モデルの有効性を示した。 さらに、運転行動モデルが決定された運転行動群を集め、各運転行動間の遷移の有無を考慮して遷移枝を配置し、遷移枝毎に遷移条件を決定することで、走行状況に応じて適切な運転行動へ遷移し、遷移先の運転行動モデルに基づき適切な運転行動が実現できる車両運動制御システムのモデル構造を提案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では、実車実験を行う予定であったが、走行環境が当初計画より大きく変更になり、予定より広大な実験スペースが必要となった。そのため、実験スペースの確保が学内で困難となり、代替地の確保も困難であったことから、実車での妥当性検証を取りやめることにした。この代用のために、ドライビングシミュレータ(以下DS)のステアリングなどの運転装置をより実車に近いものに変更し、さらに表示される走行環境もこれまでより更にリアルかつ有効な検証が行える構造可変環境を用意し、DSのリアリティを向上させることで実車での検証の代わりとした。当初の計画でも、稼働時間などの都合から実車走行はあくまでも限定的な検証としていたのでこの変更により大きな問題は生じない。 実車でなくDSにより昨年度の旋回行動モデルの使用外部環境が妥当か検証を行い、使用している外部環境情報について新たな知見が得られた。このため、新しい構造の旋回行動モデルを提案し有効性の検証した。 そして、旋回行動モデルとその他の各種運転行動モデルを組み合わせ、一連の車両走行を実現できる車両運動制御システムのモデル構造の提案を行った。 予定していた、構築した運転行動モデルのそれぞれについて個人差が出る判断・動作であるかどうかの検証は、個人差の有無により実装手法をモデル毎に変更するよりも、全てのモデルにおいて収集した運転行動データの中から平均的なデータ群を見極め、平均的データに基づきモデル化する統一性のあるモデル化手法とすることにしたため、検証の必要がなくなり実施項目から外した。 このように本年度の実施項目は全て達成できたことから、おおむね計画通りに進捗していると自己評価を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定していた実車での実験を取りやめることから、来年度予定していた実車実験については、DSにて同等の実験が行えるようにソフトウェア面とハードウェア面の両面の改修を進め、さらに実験走行用の走行環境についても総合的な走行が行える走行環境を新たに構築し、DS単独で十分な検証が行えるように対応する。 DSを使って行うこと以外は、当初の予定通り、一連の運転行動を実装した車両運動制御システムについて、被験者に運転席視点と外部視点で観測してもらう走行実験を行うことで、提案システムの有効性の検証を行っていく予定である。
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Research Products
(3 results)