2016 Fiscal Year Annual Research Report
Sense of verisimilitude as an important aspect of affective processing and its psycho-neural bases
Project/Area Number |
26330306
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
行場 次朗 東北大学, 文学研究科, 教授 (50142899)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 迫真性 / 臨場感 / 逆理的効果 / 日本美 / 多感覚相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
枯山水や水墨画、侘び茶や能舞などに代表される日本美の特徴は、刺激情報を可能なかぎり還元し、美の中心となる感性エッセンスを抽出し、それらを的確に表示することにあると考える。本研究では、刺激還元による本物らしさに対応する感性を迫真性と定義する。刺激強度が小さいほど種々の感覚間の相互作用が大きくなることが逆理的効果として知られており、現実性を適切に捨象することにより刺激量を減らせば、多感覚間の相互作用が強まり、未完の美のように補完効果や創発効果により、かえって迫真性のある情報伝達が達成される可能性がある。 そこで本年度の研究では、迫真性を生み出す真髄は、背景情報の思い切った切り捨てや、表現時間の焦点的伸張などによる感性エッセンスの抽出にあるとことをハリウッド的コンテンツと日本映画や落語芸術の対比により示し、第31回国際心理学会においてThematic Session を主催した。そこでは、代表者も含めて、本研究テーマの重要性に共通理解をもって研究を展開している4人の講演者が、それそれ迫真性にとって重要な逆理的効果のデモンストレーション、振動感覚の効果、奥行き情報の影響、映像再生スピードの効果などについて成果報告講演を行い、参加者からも好評を得ることができた。 また、バンコクのチュランコン大学で初めて開催された国際シンポジウム「Mind, Body, & Society」において招待講演を行い、本研究で得られた知見をベースに迫真性や臨場感に代表される感性空間が人の間のインタラクションを円滑に支える役割を持つことを論じ、成果発信を行った。 研究課題に含まれる多感覚交互作用に関する基礎的に知見についても、国際学術誌に論文を公刊することができた。
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