2015 Fiscal Year Research-status Report
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26330329
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大西 昇 名古屋大学, 情報科学研究科, 研究員 (70185338)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 博章 名古屋大学, 情報科学研究科, 准教授 (70283421)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 心拍変動 / 心電図 / 自律的調節機能 / 独立成分分析 / 計算機診断支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
自律的な心臓調節は,心拍動維持の重要な機構で,その生物学的特性は良く理解されている.しかし,健康な心拍動と健康でないそれとの境界を説明できる理論的原理については少ししか分かっていない. 心拍動の効率的符号化の考えに基づいて,3つの心拍動タイプ(健康,睡眠時無呼吸症候群,うっ血性心不全)について,次の仮説を検証した.その仮説は,ペースメーカー細胞(心拍動リズムを司る)は,心疾病があっても,自然な心拍動を維持するように,トポグラフィック組織化を試みる,である.2層の前向き神経回路網を用い,回路出力の依存性を最小にするよう,心拍動の独立成分分析を実施した.その結果,層間の係数は,健康な心拍動の主要な特徴を記述するフィルター(これをポピュレーションコードと呼ぶ)に似たものであった.しかしながら,睡眠時無呼吸症候群の心拍動を分析したところ,そのポピュレーションコードは心拍動の特徴を記述できるものではなかった. そこで,トポグラフィック独立成分分析(TICA)を適用した.その結果,睡眠時無呼吸症候群とうっ血性心不全の心拍動から得られたポピュレーションコードは,健康心拍動のICAで得られたコードに類似したものであった. TICAは,出力の統計的依存性を考慮して,解析対象のシステムを複雑型細胞として組織化し,さらにICAが単純型細胞を組織化することを考慮すると,上記の分析結果から次のことが言える.ペースメーカー細胞が,ある固有の周波数での自然な心拍動を維持するよう,クラスターとして発火しているので,我々の仮説が生物学的に妥当な説明で,このクラスターとしての発火は,心疾患をうまく回避して,自然な心拍動を維持するために発生していると考えうる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(2)おおむね順調に進展している
研究計画に記載の項目を予定通り実施し,その成果を論文として投稿した.また,協力研究者のFausto Lucena博士およびAllan Kardec Barrosと,実験結果と研究手法について,ブラジルにて議論した.これにより,当該研究の進捗が良くなり,かつ今後の課題が明確化されたと考える.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題申請書に記載した通りに,H27年度に計画した研究課題を実施しでき,計画の変更が必要となる事態も発生しなかった. 最終年度のH28年度には,申請書に記載した計画に基づいて,当該分野の専門家との議論・協力関係をより強化し,研究を実施する.
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