2016 Fiscal Year Research-status Report
生命科学分野の多様なビッグデータからの能率的知識発見手法の開発
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26330334
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Research Institution | Nagahama Institute of Bio-Science and Technology |
Principal Investigator |
池村 淑道 長浜バイオ大学, バイオサイエンス研究科, 客員教授 (50025475)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 健之介 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 教授 (90231026)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | RNA ウイルス / 機械学習 / 人工知能 / tRNA / エボラ / インフルエンザ / 自己組織化マップ / SOM |
Outline of Annual Research Achievements |
インフルエンザやエボラウイルスを代表例とする病原性ウイルス類はその社会的な重要性から膨大な数のゲノム配列が解読され、ビッグデータ化している。我々のグループが開発して来た、教師なし機械学習BLSOM(一括学習型自己組織化マップ)はビッグデータからの新規性の高い知識発見に適している。このAIを用いた知識発見を基礎に、本年度はインフルエンザとエボラウイルスとマーズウイルスゲノムでのオリゴヌクレオチドに着目し、方向性のある変化を見出し、論文として発表を行った。 20連塩基程度の長さのオリゴヌクレオチドは核酸医薬として期待されている。20連塩基程度のオリゴヌクレオチドを対象にすると、超高次元のビッグデータ解析となる。上述の方向性のある変化は、近未来での変化予測を意味する。インフルエンザとエボラウイルスはRNAゲノムを持っており、分子進化速度が極端に速く、開発された核酸医薬の薬効が失われやすい。近未来での変化予測ができれば、待ち構え型核酸医薬の開発が可能になるので、この視点に立った研究成果を現在投稿中である。 次世代シーケンサーが産出する大量ゲノム配列は、比較的に短い配列が大半を占める。100塩基程度の短い配列であっても、tRNAについては完全長の遺伝子が得られる。我々のグループはこのtRNA遺伝子のビッグデータをDBとして公開しているが、本年度はAIを用いた知識発見の成果を論文として発表した。この研究成果は、ビッグデータ化したtRNA遺伝子のDBのAIによる高品質化にも役立つ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
教師無しの機械学習はビッグデータからの想定外の知識発見を可能にする。RNAゲノムを持つウイルス類は分子進化速度が極端に速く、ゲノム配列の急速な変化は、それらウイルスへの対処を困難にしてきた。突然変異が分子進化の素過程であることから、変化はランダムな方向へ進むと考えられやすいが、AIを用いた我々の解析は、特定の視点からではあるが、明瞭な方向性のある変化を検出した。インフルエンザやエボラやマーズウイルスの場合、自然宿主と呼ばれる動物類に感染している間は病態が顕れない。これらのウイルスがヒトに感染した際に、自然宿主で生育していたウイルスにヒト細胞側が理想的に良い生育環境を提供しているとは考えづらい。ウイルスゲノム側が高速に変化して、ヒト細胞へ適応度を上げると考えられる。AIはこの変化を的確に把握しており、想定外の知識発見が行えた。この想定外の知識発見が行えたことで、当初の計画以上に広い解析が可能になった。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までの論文と合わせると、既に3報の査読付きの論文として発表を行い、投稿中の論文が1報ある。更にAIを用いて、多量の病原性ウイルスゲノム配列を対象に、宿主miRNAと相互作用する可能性を探索している。現時点では、エボラ、インフルエンザ、マーズ、ジカ熱、デング熱等のRNAウイルスをウイルス側の対象にしている。miRNAについては、ヒト、コウモリ、ニワトリ、蚊を対象にしている。
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Causes of Carryover |
本年度中に論文が受理され、Webから公開中の1報の論文が印刷中であるが、その出版に係わる経費として使用するため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度中に論文が受理され、Webから公開中の1報の論文が印刷中であるが、その出版に係わる経費として使用する。本年度中に投稿したもう1報の論文があるが、それは審査中である。受理された際の出版に係わる経費として使用する。 本科研費の研究成果であり、現在作成中の論文がある。受理された際の出版に係わる経費として使用する。本科研費の研究成果を学会等で発表する際の費用として使用する。
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