2015 Fiscal Year Research-status Report
リンクト・オープン・データをものづくり分野で活用するための情報連携方式の開発
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26330349
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
藤井 章博 法政大学, 理工学部, 教授 (40241591)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | LOD / マッシュアップ / ねじLOD / RESTful Web API / WoT / Web サービス / オントロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
「N研コード」を基にした「ねじLOD」を公開するなどの成果の基で、ものづくり分野でのリンクト・オープン・データ(LOD)の利活用に関する研究を進めている。 2015年3月には、LODを活用する一つの形態として、WikiペディアRDF版(DBPedia)の情報とYouTubeの動画像情報、Amazon.comなど商業サイトの提供する商品情報、などを同時にマッシュアップさせて一つのアプリケーションとして提供するAndroid アプリを開発した。このアプリケーションでは、高度な問い合わせに対するセマンティックを利用した回答を提供するSPARQLを採用した。このシステムの機能を提供する環境としては、研究課題として当初想定したパブリッククラウド(GAE:Google App. Engine)を利用した。すなわち、RESTful なURIによってサービスの各種機能要素を提供するという目標が達成できている。 2015年度(平成27年度)は、このシステムをひな形として、いくつかの対象分野の異なるアプリケーションを開発した。具体的には、地方自治体の運用する市バス情報のバス停に関する位置情報のLOD化とそれに関連する自治体の災害時支援のための公開情報のマッシュアップサイトの構築などを行った。 すなわち、開発する要素技術としては、LODの利活用のためのWeb API の設計、データのLOD化のための手法、LOD化されたデータの推論規則を導入したうえでのSPARQL言語による検索、など本研究提案で想定した先進的なWebサービスのための要素技術を十分利活用するための知見を得ることができた。 一方、当初想定した「ものづくり分野」での応用事例の蓄積は、十分に行えていない。そこで、28年度はこの観点を主要な研究目標と定めて進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究提案の内容を振り返って検証すると、当初の計画以上に進展している部分がある一方で、遅れている側面がある。 まず、進展させることができた点として、当初想定したLODの構築とその運用のための知見は、十分蓄積できたと考えている。3年間想定した進捗の段階を現時点でほぼ到達していると評価している。達成できていない要素技術の項目は、「ソフトウエアエージェント」の動作環境をLODとWeb API の上で実装する点であり、これを28年度における開発項目の最重要課題としたい。要素技術としてここまで達成できれば、LODをマッシュアップさせる形態のソフトウエアアプリケーション開発に関して、一定の到達点を見ることができると考えている。 一方、十分に発展させられていない部分は、「ものづくり分野」の具体的なニーズへの対応である。停滞している理由は、実際のものづくり現場のニーズを吸い上げる努力を怠っているといえる。この点が、現在の進捗状況における課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
以上を踏まえ、特に28年度の研究課題は、その後の本研究テーマの発展も展望に入れつつ、次のように推進する方策を取りたい。 まず、これまで確立した関連する各種要素技術に関して、アプリケーションを開発するための体系的なアプローチを確立して公開する。具体的には、ひな形となる定型の開発手順に従って、具体的なアプリケーションを複数開発することである。ここで、核となっている要素技術は、Web APIを連携させてサービスを構築する手法であり、近年では、こうした観点の研究分野を WoT(Web of Things)と呼ぶ研究者も増えている。そこで、WoT研究のコミュニティ(W3Cなど)の動向にも注意を払いつつ進める。 その際、これまで十分対応できていない「ものづくり分野」でのニーズに対応するとともに、ソフトウエアエージェント研究で過去に培われている知見を応用することを考えたい。具体的には、産業用のロボットの動作をモデル化した環境に対して、Web API、マッシュアップ、LOD、ソフトウエアエージェントの各要素技術を応用したアプリケーションの開発を実施する。このための準備は、27年度末の段階で整っており、そのことを表す成果は情報処理学会の全国大会(学生奨励賞受賞)やPICMET16国際会議(2016年9月)への採択などで公開している。
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Causes of Carryover |
研究の進捗に伴い、委託費によって海外の学生に謝金を払い、データ整理、文献調査、英文添削、論文の共同執筆などを行った。その分の月額に2か月分程度が、当初予算に対して赤字となっている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究成果が早めに国際会議論文とすることができた。よって、28年度ではこのような超過は生じない。
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Research Products
(5 results)