2014 Fiscal Year Research-status Report
文脈的要因を考慮した複雑社会ネットワーク進化の数理モデリング
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26330352
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
木村 昌弘 龍谷大学, 理工学部, 教授 (10396153)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大原 剛三 青山学院大学, 理工学部, 准教授 (30294127)
斉藤 和巳 静岡県立大学, 経営情報学部, 教授 (80379544)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 社会ネットワーク分析 / ネットワーク進化モデル / 情報拡散の影響度分析 / 機械学習アルゴリズム / データマイニング / 複雑ネットワーク科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.ソーシャルメディアにおける信頼ネットワークの進化過程を媒介者の観点から分析するために、媒介者が存在するユーザ間の信頼リンク生成ダイナミクスを分析するモデルとして,自然な確率過程モデルA-MEを考え、その拡張であるA-MAEモデルを提案した。提案モデルに対して、モデルパラメータの値を信頼リンクとユーザアクティビティの観測系列データから推定する効率的な手法を構築した。そして、ソーシャルメディアの実データを分析し、媒介者タイプ情報と媒介者アクティビティ共起情報を組み込むことは、信頼リンク生成ダイナミクスのモデル化において有効であることを実証した。
2.大規模ソーシャルネットワークにおいてSIRモデルでの情報拡散に関する各ノードの影響度を効率よく推定するために、モンテカルロ・シミュレーションを通じて推定するよりも3桁以上速い手法として知られているボンドパーコレーション(BP)法に対し、冗長辺プルーニング(REP)と周辺成分プルーニング(MCP)を組み込む手法を提案した。約四万ノードおよび約百万ノードをもつ大規模な実ソーシャルネットワークを用いた実験により、提案法は既存のBP法をさらに1桁高速化できることを実証した。
3.ソーシャルネットワークにおいて情報拡散に関する影響力が強いノードの新たなタイプとして、それを取り除けば情報の拡散量が大きく減少するようなノードを超媒介者と定義し、超媒介者ノードを効率よく抽出する手法を提案した。実ソーシャルネットワークを用いた実験により、超媒介者ノードの特長を明らかにした。特に、超媒介者度は情報拡散の影響度や被影響度と比べてノード分離性が極めて高いこと、また超媒介者ノードは、情報拡散の影響度と被影響度がともに高く、媒介中心性などの従来のネットワーク中心性によっては同定できない、新たな中心性尺度であることを実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文脈的要因を考慮した複雑社会ネットワーク進化の数理モデリングとして、媒介者タイプ情報と媒介者アクティビティ共起情報を組み込んだ信頼ネットワーク進化モデルとその学習法を提案し、その有効性をソーシャルメディアの実データを用いて評価した。また、ソーシャルネットワーク上の情報拡散に対して、ノードの影響度推定の高速化およびノードの影響を測る新たな尺度を提案し、それらの有効性をソーシャルネットワークの実データを用いて評価した。そして、これらの研究成果をいくつかの論文として発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、さらなるソーシャルメディアの実データの収集と分析を行い、それに基づいて数理モデルの改良とモデルパラメータ学習法の改良を行う。また、構築したモデルの挙動の数理解析および、それに基づいてソーシャルメディアデータに対し、異常検出、コミュニティ抽出、レコメンデーション、知識発見など、各種応用の提案を目指す。
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Causes of Carryover |
研究成果を発表した国際会議の開催場所が比較的近い中国とオーストラリアであったため、出張旅費が予定よりも安価となった。投稿したジャーナル論文の採録通知の遅延により、論文別刷り代の支払いが次年度になった。また、研究の円滑な立ち上げを優先し、すでに収集済みのデータを主に研究に使用したため、データ収集・分析に対する謝金の費用が少なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究成果を国内の研究会、国際会議および論文誌で発表するための費用として使用する。また、ソーシャルメディアの実データ収集・分析のための費用として使用する。
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