2014 Fiscal Year Research-status Report
ミクロとマクロの統合的算出が可能なV2X指向のエネルギー消費状況DBに関する研究
Project/Area Number |
26330358
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
富井 尚志 横浜国立大学, 環境情報研究科(研究院), 准教授 (40313473)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | センサデータベース / スマートグリッド / V2G: Vehicle to Grid / V2B: Vehicle to Building / 電気自動車 / ライフログ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、スマートグリッドに対して電気自動車(EV)が移動するバッテリーとして寄与するV2G(Vehicle to Grid)の実現を最終目標とする。その前段階として、既存の自動車によるライフログ(日常の移動ログ)をスマートフォン内蔵の簡易なセンサを用いて収集した。また、このライフログデータにEVモデルを適用し、EVに置き換えた場合のミクロなエネルギー消費量を推定することを提案した。さらに、これらのミクロなデータに対し、マクロにV2Gの効果を把握することができるデータベースの構築方法もあわせて提案し、プロトタイプシステムを構築した。平成26年度に得られた成果は、主に次の3点である。 まず第一に、実際のEVを用いて長期にわたりEVの電力消費状況データを収集して、ミクロな観点からのEVモデルの精度検証を行うことに着手した。データの収集過程において、冬季のエアコンによる消費電力が無視できない程度に存在することが明らかになった。そこで、EVモデルに対しエアコンの消費電力推定モデルを追加し、推定消費エネルギーの誤差範囲の改善を図った。 第二にEVパワーステーション(EVPS)の設置を行ってV2B(Vehicle to Building)のプロトタイプを構築し、マクロな観点からの評価用データの収集を開始した。この環境を用いることにより、実車のEVが実際にどの程度のエネルギー移動効果をもたらすのか直接計測することができるようになった。このプロトタイプによって、ビル側での節電行動とスマートグリッドの連携評価に着手できるようになった。 第三の成果として、エネルギー受領側であるビル側において、ユーザの電力消費行動に関する情報提示方法の導入を行った。 これらの成果を組み合わせて今後は、提案したデータベースを活用したより実際的なV2Bの実証実験に取り組んでいく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・データ収集とデータベース構築は計画通りに遂行された。 ・冬季エアコンの推定精度について検証を行った結果、提案手法はある程度実用に足ることが明らかになった。(ITSシンポジウム2014査読付論文発表) ・EVPSを設置のうえ、適切な配線工事を行うことによって、V2Bのプロトタイプを構築した。また、EVPSに関するデータ収集を開始した。 ・ビル側での電力需要および節電のためのデータ収集と情報提示手法を提案し、実践的な節電実験を行った。(WebDBフォーラム2014査読付論文発表、DEIM2015発表)
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度には、おおむね当初計画通りに遂行できたため、平成27年度も当初計画にしたがい次のように推進していく。 まず、ハードウェア環境を増強して、継続的にデータベースに蓄積するデータの充実化を図る。また、このデータベースを活用した、ミクロ・マクロ双方の有益な情報提示方法の検討を行い、ビューアのプロトタイプシステムを実装する。さらに、EVPS周りで収集した実データを利用して、V2Bの効果、実データからの計画方法など、実環境がなければできない実践的・実証的な実験に取り組む。 これらの計画と並列し、被験者を追加して、提案手法のより一般的な効果を検証する。最終的には連携研究者と協力して、エネルギー環境学の観点から評価を行っていきたい。
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Causes of Carryover |
物品費の一部により、本研究計画の中で必須となるEVPSの導入を行った。EVPS設置にあたり、計画時には未計上であった配線工事による支出が追加されることになった。この支出充当のため、当初計画にあったレンタカーを用いた実証実験は本研究計画の費目から支出することを見送ったが、その差額が残余となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度には、前年度に実施を見送ったレンタカーによる実証実験を実施する。
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Research Products
(7 results)