2014 Fiscal Year Research-status Report
空間統計学と特許情報分析を統合した技術集積測度推定と地域イノベーション政策評価法
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26330359
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
増山 繁 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60173762)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 暁雄 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20710130)
平岡 透 大分工業高等専門学校, 情報工学科, 准教授 (30626891)
野中 尋史 大分工業高等専門学校, 情報工学科, 講師 (70544724)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 政策評価 / テキストマイニング / 産業クラスター / 空間的分布 / 技術集積 |
Outline of Annual Research Achievements |
産業クラスターとは,「特定分野における関連企業,専門性の高い供給業者,サービス提供者,関連業界に属する企業,関連機関(大学,規格団体,業界団体など)が地理的に集中し,相互の連携・競争を通じて新たな付加価値(イノベーション)を創出する状態」のことをいう. 産業クラスター政策をはじめとしたイノベーション施策において,地域におけるイノベーション活動を定量的に評価することは重要である.現在では,経済統計やアンケート調査に基づいて,いくつかの評価手法が提案されている.しかしながら,アンケート調査をはじめとする定性的な手法においては客観性の欠如と実施する際の多大な労力・コストが問題となっており,より簡便に,かつ,客観的に評価できる手法の開発が求められている.一方,定量的な手法は経済規模の評価に偏っており,施策の途中段階において重要となる技術開発動向を加味したものではなかった. そこで,本研究では,特許出願の空間的自己相関と出願分布のエントロピーに着目し,我が国における,技術的な集積がなされているクラスターの範囲の特定と集積の程度を評価した.また,それらの分野間の関係(分野間が連携しているのか,特定分野が突出しているのかなど)を分析し,イノベーションメカニズムの把握を試みた. 本研究は,重要な技術が特許出願されやすいことに着目し,特許出願の空間的自己相関とエントロピーによる分析を用いて地域における技術集積状況とその集積範囲,そして,分野間の関係を定量的に評価することを最終目的とする.本研究では,その中で手法の基礎的な検討に絞って行い,実際に,地域イノベーション力評価のための分析指標に用いる事が可能であるか否かを検討した.そのための基礎技術確立のため,因果関係に関する情報抽出手法も考案した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究目的に対し,以下のことが示せ、地域イノベーション力評価のための技術集積の評価手法の基礎を固めることができた. ・グローバル,および,ローカルな空間的自己相関による特許出願の空間的偏在性の定量的評価法の提案と評価 ・2 次,3 次メッシュの異なる区域分けを用いたクラスター分類手法の提案 ・エントロピーを利用した技術分野の分布の定量的評価法の提案と空間的偏在性との関連性分析 以上より,地域イノベーション力評価のための技術集積の評価手法の基礎となることを示せた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の研究では特許出願件数を使用した.しかしながら,場合によっては技術毎の重要性や詳細な技術の種別を加味したより精密な分析を行う必要がある.そのためには,「特許の重要性をHITS(Hyperlink Induced Topic Search) などの手法により評価すること」や「文書から技術キーワードを抽出する手法と組み合わせてキーワード毎の出願数に本手法を適用する」などの自然言語処理の手法の導入が不可欠となる.また,イノベーション創出・促進の要素としては技術の集積以外も重要となるので,それを考慮した分析手法の開発も必要となる.さらに,時系列での詳細な分析も必要であると考えられるのでそれを検討する.
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