2015 Fiscal Year Research-status Report
説得心理学に基づくコンピュータウィルス対策に関する研究
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26330386
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
吉開 範章 日本大学, 理工学部, 教授 (30398846)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗野 俊一 日本大学, 理工学部, 准教授 (30215066)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | リスク認知 / 防護動機理論 / 情報セキュリティ / ネットワーク・コミュニティ |
Outline of Annual Research Achievements |
コンピュータ・ウィルスに感染し,その事を認知した場合でも,ヒトは対策をとるケースが多くないことが報告されている.その要因を明らかにし,情報セキュリティ対策を促す為の研究を,説得心理学を基礎とする質問紙と実験により進めている. 前年度に引き続き,対策行為に導く施策の実現に向け,対策実行意思に影響を与える要因を明らかにするために,集団的防護動機理論における8 つの規定要因(深刻さ認知、生起確率認知、コスト認知、実行能力認知、効果性認知、責任認知、実行者割合認知、規範認知)に,感染経験,IT 知識,IT スキルの3 つの潜在要因を加えたモデルを元に,共分散構造分析によりデータ分析すると共に,其の結果が正当性基準を十分満足する適合度指標を示した。また,実験協力者の行動データを同じモデルで分析を行い,対策実行意思に影響を与える要因も明らかになった.その結果、エイズによる健康対策、あるいはゴミによる環境対策行動において影響を与えると考えられている深刻さ認知、効果性認知、及び生起確率認知が、情報セキュリティにおいても、主要因であることを示す事が出来た。 更に,これらの結論を情報セキュリティ対策に活用する方策に関しても、抑止・制御・検出・復旧の4段階からなる行動サイクルにおけるフェーズに分けて検討し、具体的な適用案を示す事ができた。 さらに、精緻機見込みモデルを使い、感染復活後に再度感染した場合の説得に関する検討も開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、ウイルス感染した状態のヒトを説得する為に必要となる条件を、アンケートデータから、特定できた。さらに、セキュリティ対策への応用法についても、具体的に示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの結果から、説得内容は、ヒトの持つ価値観や文化的背景が影響することが分かったので、今後は、日本人以外に対象者を拡げて、研究を進める。
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Causes of Carryover |
2015年度は、計画通りに、助成金の使用を行ったが、2014年度に実施予定であった、海外でのアンケート調査まで実行できず、そのため、未使用な助成金が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年度内に、シドニー大学の学生に対するアンケート調査を実施する。
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Research Products
(5 results)