2015 Fiscal Year Research-status Report
福祉専門教育における情報技術を活用した教育プログラムの開発とその効果
Project/Area Number |
26330403
|
Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
坂本 毅啓 北九州市立大学, 基盤教育センター, 准教授 (30353048)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中原 大介 福山平成大学, 福祉健康学部, 准教授 (20461999)
佐藤 貴之 北九州市立大学, 基盤教育センター, 准教授 (90310979)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 福祉専門教育 / 情報技術 / 教育プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は福祉専門教育においてICTを活用した研究を行い、新規の領域を開拓し、より質の高い福祉人材を養成する教育プログラムを開発することを目的としている。研究計画の2年目である平成27年度は、計画では①プロフェッショナルのコンテンツを作成する、②ソフトウェアの改善を行う、③コンテンツを蓄積する、④保育士養成課程での同教育プログラムの実施、⑤模擬面接を実施するスキルの獲得の効果分析などを行っていくの5点とした。 ①プロフェッショナルによるコンテンツの作成と②ソフトウェアの改善、そして③コンテンツを蓄積するの3点については、当初の計画通り進めることができた。④保育士養成課程での同教育プログラムの実施については、社会福祉士養成における模擬面接だけでなく模擬保育という演習授業における活用の検討を行い、その検討結果について学会発表を行った。⑤模擬面接を実施するスキルの獲得の効果分析については、平成27年度は被験者が少数であったという課題は残ったものの、質的調査からスキル獲得の効果分析を行い、開発した教育プログラムの有効性を確認することができた。 さらに、本研究での成果を踏まえて、サービスラーニングにおけるICTを活用した教育実践の教育効果について分析を行った。これまで取り組んできた教育プログラムの作成方法、ICTの活用の仕方の知見を踏まえて、サービスラーニングにおいて50~60名程度の受講者であっても10名程度の受講者と同様の教育効果があることを示すことができた。 ここまでの取り組みにより、教育システム情報学会の全国大会での研究発表が1回、同学会研究会での研究発表を1回、情報処理学会研究会での研究発表を1回行い、研究成果について報告を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
プロフェッショナルによるコンテンツ作成については、当初予定していたシナリオに基づいて作成する予定であったが、被験者である学生の中に社会人学生が複数名在籍しており、当該学生の協力によって作成することができた。また他の被験者による協力によって、コンテンツの蓄積をすることができた。社会福祉士養成教育における模擬面接において、今回開発しているモジュールや教育プログラムが有効であるかという点については、平成27年度は被験者が少数であった点が課題として残っているものの、質的調査結果からその有効性は示めすことができた。 ソフトウェアの改善については、表示の仕様だけでなく、作問の自由度を上げ、また動画へのコメント機能などを追加し、社会福祉士養成教育における模擬面接だけでなく他の演習等の教育プログラムにも応用できるような仕様へとバージョンアップを図った。 保育士養成課程における応用については、当初模擬面接での活用を検討していたが、それ以上に模擬保育という演習課題において有効なのではないかという検討を行い、それに基づいて試行した。平成27年度はプレ実施のレベルではあったが、被験者である学生からのフィードバックからその有効性があると考えられる。この点については次年度においてさらに発展させる予定である。 今年度はさらに、これまで本研究課題に取り組んできた結果による知見の蓄積により、サービスラーニングにおいてICTを活用することによって効率的な教育の展開が可能であるということを示すことができた。さらなる研究の拡大、発展へと結びつけることができた。 上記の研究成果から、研究発表を計3回することができた。これにより次年度以降の研究につながるような有意義なコメントを得ることもできた。以上から、本研究課題は当初の計画以上に進展していると判断をした。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進については、①改善されたソフトウェアを活用して教育プログラムを試行する、②コンテンツを蓄積する、③模擬面接を実施するスキルの獲得の評価項目(ルーブリック)を作成する、④保育士養成課程において開発したソフトウェアを活用して模擬保育の教育プログラムを試行する、以上4点について進めていく予定である。 ①と②については、これまで行ってきた教育プログラムの3年目を行うことを意味する。そして特に③の模擬面接を実施するスキルの獲得の評価項目(ルーブリック)の作成は、これまでの被験者に対する調査結果やプロフェッショナルによるコンテンツ等の蓄積から、重点的に取り組むべきテーマである。これらによって、教育効果の可視化にも挑戦してみる予定である。 ④の保育士養成課程における応用については、本格的に教育プログラムとして一連の流れに沿って行い、平成27年度に改善したソフトウェアの活用を行う。特に保育士養成課程における模擬保育での応用については、管見によれば先行研究が無く、新規の領域の開拓としての取り組みになる。これまでの知見の蓄積を踏まえて、コンテンツの作成から被験者による評価までの一通りの分析用データの収集に取り組む。 これらの研究成果は、引き続き研究発表を積極的に行い、新規の領域の開拓にさらに寄与していく予定である。
|
Causes of Carryover |
当初予定していた情報機器の購入について、平成28年度において大幅なバージョンアップが行われる可能性が出てきたため、購入を見送ったために次年度使用額が生じた。また当初予定していたプロフェッショナルのコンテンツを作成する予定が、被験者の協力により謝金が発生しなかったことも影響した。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
①平成27年度に購入を見送った情報機器を購入する、②研究発表を行うための旅費として使用する、以上2点を中心に、計画的に使用していく予定である。
|