2014 Fiscal Year Research-status Report
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26330409
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
岡嶋 裕史 関東学院大学, 経済学部, 准教授 (10350547)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 萌え / 情報教育 / 教育の情報化 / 学際 / メディアミックス / 動画教材 |
Outline of Annual Research Achievements |
動画コンテンツの制作を進めて行く上で、まず制作手法を選定する予備調査を行いました。動画コンテンツの制作は極めて高額であるため、制作手法の候補を次の3群とし静止画を用いて萌えの惹起度を計測いたしました。1群 ライトノベル的なシナリオ手法を用いたもの。 2群 ソーシャルゲーム的なインタラクティブ手法を用いたもの。 3群 アニメ的な説明図法を用いたもの。 当初より予測されたことではあるが、このうち学生が興味を示した度合い、あるいは記憶の定着への寄与は3群が最も大きかった。「艦これ」、「俺タワー」などの擬人化コンテンツが大きな市場を獲得し、それを契機として艦船や重機への興味や理解が深まっていることを考慮しても、3群の手法を用いて動画コンテンツの制作・運用実験を推進するのが合理的と考えられる。 今回は選定外としたが、2群のインタラクティブ手法も、3群に迫る結果を残した。ただし、インタラクティブな手法は(制作に求めるクオリティにも依存するが)動画以上に制作コストと運用コストが高騰する。今後、動画コンテンツは反転授業などへも応用することが考えられるが、高コストな手法である事実は大きな障壁となるであろう。とはいえ、コストパフォーマンスを度外視すれば高い教育効果を見込むことができ、また技術遷移により今後コストパフォーマンスが向上する可能性も十分にある。2群手法を用いた動画コンテンツの制作・運用実験は今後の課題としたい。 3群手法によりコンテンツを制作する場合、重要な要素となるのは、学生に理解させたい技術の本質を抽出し、それをいかに擬人化形式で図案化するかである。技術の抽出に関してはもちろん筆者が手がけたが、図案化には第一線でアニメ制作に従事するプロのシナリオライター、イラストレーターの協力を仰ぎ、万全を期すこととした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2014年度の課題であった、いくつか考えられる動画制作手法のうち、どれが最も教育効果が高く、かつ費用対効果に優れているかについては、静止画を用いたシミュレーションによって明らかにすることができた。 そこから導かれた動画制作手法を推進するために必要な、技術の本質の図案化に関しても、イラストレーターなどの特殊な知識を具備した専門家の協力を仰ぐことで、順調に進めることができた。この後に必要な作業であり、かつ本研究の山場であるのは実際に動画を制作する工程であるが、キャラクタデザイン、シナリオの各要素について、準備が完了している。 一点だけ、本研究の開始時点では想定していなかった要素が惹起した。代表研究者である私自身の異動である。計画通り2014年度内に制作請負企業と契約書を交わし、実際に制作工程に入ることで合意が得られていたのだが、異動の直前に契約書を取り交わすことは事務手続が煩雑になり、瑕疵の可能性が増大することと、業務を誠実に進めていく上での社会的な通念・倫理観と照らし合わせたときに、異動後に契約を交わす方がより円滑な契約と実務が実施できるだろうと判断し、敢えて契約時期を異動後の2015年度に遅らせる措置を執った。 異動に伴う各種手続が終了し次第、準備済の契約書に捺印し、即時に動画制作作業を再開させたい。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度における最大の作業は、具体的な動画制作である。とはいうものの、動画制作は特殊かつ高度な職人的技術を要する作業であるため、実作業の大半は専門制作会社と請負契約を結んで、進めてもらう形になる。 ここでの私の責務は、制作業務のコストとクオリティ、合目的性を維持しつつ、研究計画で定めた期限内に動画を完成させることである。これには説明が必要であろう。動画制作の現場は、アーティスティックな作業を包含するため、一般的な社会通念と比較した場合、納期や予算を遵守しようとする意識が希薄である。より良い作品を追求するあまり、最初の契約を逸脱する傾向が存在するのである。こうした、いわゆる芸術家肌の職業理念を否定するつもりはないが、公費を投入した研究である以上、研究代表者である私には納期と予算を遵守する義務がある。頻繁に制作現場に足を運び、制作プロジェクトの管理を的確に行うことを誓約したい。 また、動画コンテンツが完成の暁には、学生に協力を得つつ実証実験を行い、これをテンプレート化する。これは研究計画書で明示したとおりである。費用対効果の高い教育方法として教育現場で利用していただきたいと考えている。中央大学へ異動したことで、実際の講義でモバイル端末を利用した反転授業を行う実証実験を実施できる可能性が生じてきた。これは研究計画立案時には想定していなかった、正のインパクトを持つ事象であるため、是非実現させ、研究をより良いものに昇華させたいと考えている。
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Causes of Carryover |
研究成果報告の欄でも触れたように、一点だけ、本研究の開始時点では想定していなかった要素が惹起いたしました。代表研究者である私自身の異動です。計画通り2014年度内に制作請負企業と契約書を交わし、実際に制作工程に入ることで合意が得られておりましたが、異動の直前に契約書を取り交わすことは事務手続が煩雑になり、瑕疵の可能性が増大することと、業務を誠実に進めていく上での社会的な通念・倫理観と照らし合わせたときに、異動後に契約を交わす方がより円滑な契約と実務が実施できるだろうと判断し、敢えて契約時期を異動後の2015年度に遅らせる措置を執りました。ご心配をおかけいたしましたことを、お詫び申し上げます。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
異動に伴う各種手続が終了し次第、準備済の契約書に捺印し、即時に動画制作作業を再開させます。関係各機関とは調整済です。
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