2016 Fiscal Year Annual Research Report
Stability of aluminum-humic acid complex against microbial degradation
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26340005
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
柳 由貴子 山口大学, 創成科学研究科, 助教 (20412819)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 腐植物質 / アルミニウム / 分解 / 安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,アルミニウムー腐植複合体の安定性を微生物による分解試験により評価することを目的としている。 昨年度の結果から腐植酸の安定性は灰分除去処理の有無により有意な差異が認められなかった。そこで平成28年度は合成アルミニウムーHA複合体(Al+HA)を作成し,腐植酸の安定性に及ぼすアルミニウムの影響を評価した。未処理腐植酸(HA)及びAl+HAを液体培地に溶解して高腐植酸分解菌による褪色試験を行った結果,両者に有意な褪色率の差異は認められなかった。これは,溶解した状態ではアルミニウムと腐植酸の結合が解離してしまったことが要因の一つと考えられた。 そこで,腐植酸を粉末状態で液体培地に添加した懸濁培養による褪色試験を行った。0~12週培養の間,培養液上清として回収される画分(フルボ酸画分)では,褪色率はHAとAl+HA共に2週目まで褪色傾向を示したが,その後着色傾向を示した。何れにしても全ての培養期間を通じてAl+HAの方が低い褪色率となり12週目では224%の強い着色を示した。また,粉末状態で残存した画分(腐植酸画分)については両試験区共に培養日数に伴い褪色率は高くなったが,全ての培養期間を通じてAl+HAの方がHAに比べて低い褪色率を示した。特に12週目ではHAで44%に対してAl+HAでは25%と有意に低い値を示した。その要因として,アルミニウムと腐植酸が結合することにより,腐植酸自身の化学的安定性が高まること,もしくは微生物の生育や腐植酸分解酵素の生産,活性が抑制されることが考えられた。 さらに,過酸化水素をモデル酸化剤として微生物と同様に懸濁培養による分解試験を行ったところAl+HAはHAよりも有意に褪色率が低くなることが示された。 以上の結果からアルミニウムと複合体を形成することで腐植酸自身の化学的安定性が増大し,微生物分解に対する抵抗性が高まることが示唆された。
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