2014 Fiscal Year Research-status Report
ウエットデニューダー/ミストチャンバー法による越境酸性汚染物質の富士山頂定点観測
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26340006
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
竹内 政樹 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (10457319)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 秀治 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (40207121)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 環境分析 / 越境大気汚染 / 富士山 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者が考案した新規濃縮概念「ポストカラム濃縮法」を実用レベルに発展させる。すなわち、ポストカラム濃縮法をウエットデニューダー法とミストチャンバー法を連結した分析システムに導入し、水溶性酸性ガス/粒子状物質自動追跡システムを構築する。続いて、本システムを自由対流圏高度に位置する富士山頂で稼働させる。東アジア大陸から流入する酸性汚染物質の挙動を追跡することで、日本国内における越境酸性汚染物質の実態を解明することが本研究の目標であり、健康被害を及ぼす酸性環境汚染物質を正確に実態把握することが本研究の最終目的である。本年度は、検出システムの高感度化を図るため、イオンクロマトグラフのポストカラム部で濃縮可能な濃縮器の製作を検討した。濃縮器の稼働条件を最適化することにより、本研究の測定対象成分である塩化物イオン、硝酸イオン及び硫酸イオンを約10倍濃縮可能な濃縮器を製作できた。また、単位時間あたりの大気吸引量が大きくなるにつれて、ガス/粒子状物質捕集部で捕集される物質量は多くなり、より低濃度の酸性汚染物質の定量が可能になる。そこで、1試料あたりのガス/粒子状物質の捕集量を増加させるため、大吸引流量でもガス/粒子状物質の混合大気からガス分子のみを選択的に捕集できるウエットデニューダー及びこれを通過した粒子状物質を完全に捕集できるミストチャンバーの製作を検討した。吸引流量10 L/minまで利用できるウエットデニューダーと吸引流量6 L/minまで利用できるミストチャンバーを製作できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の主な研究目標は、ポストカラム濃縮法の高感度化と大吸引流量で稼働するウエットデニューダー/ミストチャンバーの製作である。ポストカラム濃縮器による濃縮率は約10倍であり、ウエットデニューダー/ミストチャンバーで利用可能な吸引流量はそれぞれ10 L/minと6 L/minであったことから、本研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度に高性能化したポストカラム濃縮器とウエットデニューダー/ミストチャンバーをイオンクロマトグラフに組み込み、富士山頂に流入する酸性汚染物質を15分の時間分解能で追跡可能な分析法を構築する。また、富士山頂ではガス/粒子状物質の捕集液を頻繁に補充することが困難なため、イオン交換樹脂を用いる捕集液の再利用を検討し、1ヶ月間は捕集液を補充せずに稼働するシステムに改良する。続いて、富士山頂で本システムを稼働させ、酸性汚染物質の挙動を高い時間分解能で追跡する。
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Causes of Carryover |
分析システムの評価に必要な消耗品の支出が少なかったため、次年度使用額29,163円が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
分析システムの長期間の使用による劣化が予想されるカラム等の物品費および富士山頂におけるモニタリングの実施と研究成果を発表するための旅費、施設利用費、資材輸送費、学会参加登録費として使用する。
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