2015 Fiscal Year Research-status Report
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26340015
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
大浦 健 名城大学, 農学部, 准教授 (60315851)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱本 博三 名城大学, 農学部, 准教授 (40365896)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 塩素化多環芳香族炭化水素 / 多環芳香族炭化水素 / 大気汚染 / 生体蓄積 / 発生源 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、GC/MSによる高塩素化多環芳香族類の一斉分析をさらに拡充し、イオントラップGC/MS/MSによる分析法を新たに開発した。本手法は生体試料や底質試料など夾雑物質が多いサンプルにより効果を発揮することが期待される。また、分析対象となる高塩素化多環芳香族類はその塩素無置換体である多環芳香族類よりも難分解性であり、その結果大気試料に比べこれら試料に多く残留することが予想される。そこで本手法を用いて生体試料における高塩素化多環芳香族類の分析を行った。生体試料としては青森県蕪島に生息するウミネコの死体を採取し、解剖後各臓器を用いた。その結果、塩素化多環芳香族類おいては成鳥の分析対象試料34サンプルのうち15サンプルのみから検出された。検出された試料の内、最も蓄積量が多かった試料は膵臓(平均1,600 pg/g dry wt)で、次いで脳、胃の順であった。とくに膵臓からは高塩素化多環芳香族類であるジクロロベンゾaピレンやテトラクロロピレンが検出された。一方、幼鳥の分析ではClPAHsは未検出であった。以上のことから塩素化多環芳香族類の生体蓄積は成長に伴う食餌等の外的要因によって生体蓄積が生じると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は周辺環境における高塩素化多環芳香族類の実態を明らかにするため、生体試料を用いて分析を行った。その結果、当初の予想どおり生体臓器の一部から高塩素化多環芳香族類が検出され、環境中に普遍的に存在していることが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度では大気試料についても分析を行う予定であったが、生体試料の採取・解剖に大きく時間が割かれ、十分な体制を取ることができなかった。今後これら物質の汚染経路を解明するためにも大気汚染調査ならびに発生源評価は不可欠であると考えられる。次年度は都市大気試料において、高塩素化多環芳香族類ならびに化石燃料燃焼の指標であるホパン、バイオマス燃焼の指標であるレボグルコサン、様々な発生源指標に用いられている重金属類を併せて継続的に分析を行い、環境動態と発生源評価を行う予定である。
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Causes of Carryover |
年次前半に分析装置(GC/MS)の故障が相次ぎ、予定していた大気捕集ならびに分析計画が大幅にずれ込んだ。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
発生した差額分は大気捕集用フィルター、抽出用溶媒、GC/MS関連消耗品に充当する。
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[Presentation] Determination of particle-associated PAH derivatives(ClPAHs, NPAHs, OPAHs) in ambient air and automobile exhaust by gas chromatography/mass spectrometry with negative chemical ionization,2015
Author(s)
Kamiya,Y., Kameda, T., Ohura, T., Tohno, S.
Organizer
2015 International Symposium on Polycyclic Aromatic Compounds
Place of Presentation
Bordeaux, France
Year and Date
2015-09-13 – 2015-09-17
Int'l Joint Research
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