2016 Fiscal Year Research-status Report
DNA修復における鉄の役割と遺伝病への関与:新規複合体CIAXの機能解析
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26340022
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Research Institution | Nigata University of Phermacy and Applied Life Sciences |
Principal Investigator |
関 峰秋 新潟薬科大学, 健康・自立総合研究機構, 准教授 (40304167)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 修復 / 変異 / 鉄代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
DNA修復機構は、放射線や発がん物質等により傷つけられたDNAを修復し、がん等の疾病を防ぐ。我々は長らく機能不明であったDNA修 復関連因子MMS19が新規複合体「CIAX複合体」を形成し、鉄硫黄クラスターと呼ばれる鉄補欠分子族をターゲットタンパク質に付加する反応において中心的な役割を果たすことを明らかにした。 鉄硫黄クラスターの機能は、電子伝達、酵素の活性中心、タンパク質の 構造補強等、多岐にわたる。近年、DNA修復関連因子の中に、鉄硫黄クラスターをもつタンパク質が続々と見つかってきている。その中には、XPD(色素性乾皮症)、FANCJ(ファンコニー貧血)、DDX11等の遺伝病の原因となるタンパク質が含まれている。このような背景に立ち、我々は先の遺伝病群中における変異と鉄硫黄クラスター付加状態の関係や、遺伝病の原因となる既知のタンパク質群の中において、鉄硫黄クラスターを有するタンパク質の探索を行っている。これまでに鉄硫黄クラスター含有タンパク質の候補として紫外線高感受性症候群の原因タンパク質として知られるUVSSAタンパク質の研究を行った。具体的には各種ミュータントを作成し、鉄硫黄クラスター結合領域(推定)の機能を解析した。またこれに加え昨年はクリスパー技術を導入し、遺伝子破壊実験に取り組んだ。本年度は昨年度から取り組み始めたクリスパー技術による遺伝子破壊実験を継続して行った。それに加え、発がんと鉄硫黄クラスター合成能との関連を探るため、各種がん細胞におけるMMS19タンパク質発現量との関連を調べた。また鉄硫黄クラスター合成の免疫細胞における機能解析を行った。具体的にはマクロファージ様細胞においてMMS19をノックダウンし、自然免疫における影響を解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
移動に伴う研究の遅れをここ数年である程度回復したが、現時点で取り戻したとは言い難い。本年度は昨年新たに立ち上げたクリスパー技術が作業量が多く時間がかかっていることに加え、発がんとCIAXの関係など他にも解析自体に作業量が多いものが存在する。これらの理由により、複数のプロジェクトに時間がかかっていることも遅れの要因である。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年から取り組んでいるクリスパー技術による遺伝子破壊実験、並びに各種がん細胞でのMMS19発現量の解析を他のCIAXコンポーネントにも拡大し行う。また、これに加え、最終年度の本年度は細胞内でのCIAX複合体の局在や各コンポーネントの機能解析といったより基礎的な研究を行い、この分野において確固たる貢献をする所存である。
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Causes of Carryover |
on goingの研究がクリスパー技術を用いた遺伝子破壊実験をはじめ、鉄硫黄クラスターと発がんの関係などいずれも思いのほか時間がかかったことと、これに加え自然免疫における機能解析を行ったことにより多くのプロジェクトが重なったことが理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は最終年度であり、これまでに立ち上げたプロジェクトの進行状況を見極め、より成果の上がるプロジェクトに集中し確固たる成果をあげていく。
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