2014 Fiscal Year Research-status Report
放射線及びアルデヒド化合物が誘発する致死DNA損傷の解析
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26340023
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中野 敏彰 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (10526122)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 損傷 / 修復 / 生物影響 |
Outline of Annual Research Achievements |
放射線や変異原物質は、致死的な損傷として二本鎖切断(DSB)を生成する。しかし、DSBと同時に生成する致死損傷であるDNA-タンパク質クロスリンク(DPC)やDNA鎖間架橋(ICL)の細胞致死に対する寄与については不明な部分が多い。本研究では、変異原物質としてアルデヒド化合物に注目し、修復欠損細胞の感受性および細胞における致死損傷の誘発に基づき、細胞致死に対するDSB、 DPC、 ICLの寄与を検討した。MRC5-SV細胞を単純アルデヒド(formaldehyde, FA)、アルキルアルデヒド(acetaldehyde, AA)、短鎖α,β不飽和アルデヒド(trans-2-pentenal, PET)、長鎖α,β不飽和アルデヒド(4-hydroxynonenal, HNE)で処理し、DSBおよびDPC誘発を調べた。DSB誘発はすべてのアルデヒドで認められたが、処理後24-48時間に起こるアポトーシスに由来していた。DPCについては、誘発するアルデヒドと誘発しないものがあった。ICL誘発については、相同組換え修復(HRR)欠損およびXPF欠損CHO細胞の感受性を指標とした。両細胞は、FA及びAAに高感受性を示したが、PET及びHNEには弱い感受性しか示さなかった。ファンコニー貧血修復経路欠損細胞もFA及びAAに高感受性を示したが、PET及びHNEには弱い感受性しか示さなかった。以上の結果から、アルデヒドによる細胞致死には、DNA損傷に依存する機構と依存しない機構があることが明らかになった。さらに、DNA損傷に依存する細胞致死には、ICLが関わっていることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、放射線照射(低酸素条件)及び変異原物質(アルデヒド)が誘発する致死損傷(DSB、 DPC、 ICL)の細胞致死に対する寄与を見積もることを目的とする。平成26年度の研究により、アルデヒドによる細胞致死には、DNA損傷に依存する機構と依存しない機構があり、さらに、DNA損傷に依存する細胞致死には、ICLが関わっていることが示された。したがって、当初の研究目的の一つを達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
変異原物質(アルデヒド)が誘発する致死損傷(DSB、 DPC、 ICL)の細胞致死に対する寄与を見積もることができたことから、成果を論文・学会で発表するとともに、次の研究目的である放射線(低酸素条件)が誘発する致死損傷の細胞内動態解析に着手する。
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[Presentation] アルデヒドが誘発するゲノム損傷の解析2014
Author(s)
中野 敏彰, 謝 明章, Mahmoud I. Shoulkamy, Amir M.H. Salem, 井出 博
Organizer
第37回 日本分子生物学会
Place of Presentation
横浜
Year and Date
2014-11-25 – 2014-11-27
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