2015 Fiscal Year Research-status Report
乳腺微小環境から見た低線量・低線量率放射線による乳がんリスク解明
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26340024
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
飯塚 大輔 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (00455388)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神谷 研二 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (60116564) [Withdrawn]
笹谷 めぐみ (豊島めぐみ) 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (80423052)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 乳腺微小環境 / 乳腺幹細胞 / FACS解析 / Mammosphere培養法 |
Outline of Annual Research Achievements |
乳腺は放射線発がんリスクの高い臓器として知られているが、その分子機構は不明な点が多く残されている。また、2011年に発生した東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所事故は低線量長期被ばくによる発がんリスクを多くの人々に想像させた。乳腺は管腔細胞と筋上皮細胞の二種類の上皮細胞に加え、間質と呼ばれる線維芽細胞や脂肪細胞、免疫細胞などから構成される。乳腺幹細胞は放射線誘発乳がんの標的細胞の一つであると考えられる。そして、その乳腺幹細胞は周囲の微小環境と密接な関係を構築していることから、微小環境への放射線被ばくは発がんを引き起こすか、もしくは促進するのに重要な役割を演じていることが示唆される。そこで本研究では乳腺微小環境への放射線の影響を解析することを目的としている。本年度は乳腺幹細胞を含む細胞集団を同定できる細胞表面マーカーを用いたFACS解析の立ち上げを行った。これまでマウスではCd24、Cd49fの組み合わせ、Cd24、Cd29、Cd61の組み合わせで前述の乳腺幹細胞を含む細胞集団を同定できると報告されている(Lim E et al, Breast Cancer Res, 2010)。マウス乳腺よりコラゲナーゼなどの複数の酵素処理を行うことで、乳腺細胞を分離し、血球細胞、免疫細胞などのLineage細胞を除いたのち、前述の表面抗原を認識する蛍光ラベルされた抗体を用い、FACSにて解析を行った。その結果、これまで報告のあるFACSプロファイルと類似するパターンを得ることができた。また、Mammosphere培養法呼ばれる、乳腺幹細胞とその前駆細胞のみが構築できる非接着の球状細胞集団を評価する培養法についても、既報に従い予備的検討を行ったところ、Mammoshere形成を確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた乳腺幹細胞の解析法である乳腺幹細胞を含む細胞集団を同定できる細胞表面マーカーを用いたFACS解析ならびに乳腺幹細胞とその前駆細胞のみが構築できる非接着の球状細胞集団を評価する培養法であるMammosphere培養法の確立ができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、低線量放射線被ばくによる乳腺幹細胞の動態を検討する。また、低線量放射線による乳腺微小環境への影響を見ることが出来るRadiation Chimera Modelを用いた発がん実験を行う予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定していた乳腺幹細胞の解析法である乳腺幹細胞を含む細胞集団を同定できる細胞表面マーカーを用いたFACS解析ならびに乳腺幹細胞とその前駆細胞のみが構築できる非接着の球状細胞集団を評価する培養法であるMammosphere培養法の確立が順調に行え、多数の抗体の購入や繰り返し実験を避けることができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度から実施予定である、低線量放射線による乳腺微小環境への影響を見ることが出来るRadiation Chimera Modelを用いた発がん実験では多数のマウスの飼育や発生した腫瘍の観察等で研究補助が必要となるため、主に人件費として使用する予定である。
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