2015 Fiscal Year Research-status Report
農薬分解産物ニトロフェノールの副腎・生殖毒性と乳癌活性化機構に関する研究
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26340037
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
渡辺 元 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (90158626)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ニトロフェノール / 鳥類 / 肝 / 副腎 / 雄性ホルモン作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
ウズラを用いてpara-nitrophenol (PNP)を種々の量75日間経口投与した。肝の組織学変化、血中コルチコステロン濃度の変化を解析した。CYP450、CYP 1A4, 1A5, 1B1, heme oxygenase, aryl hydrocarbon receptor 1のmRNA発現量をPNP投与後の肝および初代培養肝細胞で測定した。肝にはリンパ球の集合や肝細胞の障害が認められた。血中コルチコステロン濃度が有意に上昇した。60日投与後には肝におけるCYP450、CYP 1A4, 1A5, 1B1, heme oxygenase, aryl hydrocarbon receptor 1の発現が顕著に増加した。さらに投与を継続したところ、75日目ではそれら全ての遺伝子発現は減少した。肝細胞の24時間の初代培養においては、CYP 1A4, 1B1, heme oxygenase,は増加したがCYP1A5は減少した。 精巣を除去しテストステロンを投与した未成熟の雄ラットを用いて4-nitro-3-phenylphenol (PNMPP)の雄性ホルモン作用および抗雄性ホルモン作用を解析した。7日間皮下投与し、血液中ホルモン濃度を測定したところ、10mg/kg投与した群では卵胞刺激ホルモン(FSH),と黄体形成ホルモン(LH)濃度が有意に減少した。テストステロンとプロラクチン(PRL)は有意に増加した。一方0.001および0.01mg/kg投与した群ではFSHとPRLが増加した。PNMPPは雄性ホルモン採用と抗雄性ホルモン作用を両方示すことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に沿って 胚発生や着床に対する影響に関する研究についても実施したが,明らかな影響が見られなかった。今後、さらに遺伝子発現に対する影響も含めて解析する予定である。 ウズラを用いる実験により成果が得られ,継続して実験を行った。 ホルモンの測定については、施設の改修が終了し、新たな測定用アイソトープ標識試薬により測定系の確立が終了した。
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Strategy for Future Research Activity |
ラットを用いたin vivoの実験について、主に妊娠期と次世代に対する影響について検討する。合わせて初代培養系を用いて、下垂体細胞、性腺細胞、副腎細胞へのPNPの直接作用について解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
アイソトープを使用した実験を一部次年度に移行したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
測定用アイソトープ標識試薬を購入する。
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