2014 Fiscal Year Research-status Report
ヒ素化合物による細胞ストレス応答の分子機構:翻訳開始因子キナーゼのクロストーク
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26340041
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
五十嵐 城太郎 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (80375162)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ヒ素 / ヘム調節インヒビター / タンパク質間相互作用 / 結晶構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒ素化合物による細胞ストレスはタンパク質の翻訳に影響を及ぼすことが知られており,eIF2αキナーゼの1つHRIが関与している。この際、細胞質にストレス顆粒と呼ばれるmRNA-タンパク質複合体が凝集し、タンパク質合成が一時停止する。ストレス顆粒にはHRI, eIF2α, OGFOD1等が含まれると報告されている。しかし、HRIとストレス顆粒構成分子との相互作用による調節機構は未だ不明である。本研究では、細胞内においてHRIが他のタンパク質とのクロストークによって調節を受け、活性化する分子機構の解明を目指す。そこで、本研究課題では【1】HRIのタンパク質分解による不活性化,【2】HRIの翻訳後修飾とタンパク質間相互作用,【3】HRIの立体構造解析の3つのテーマに焦点を当て、研究を行っている。 平成26年度は、【1】培養細胞におけるHRIの発現は低いため、HRIの分解がプロテアソームを介して行われているのか、HRIの発現量をプロテアソーム阻害剤の有無について計時的に抗体を用いて調べた。【2】HRIと相互作用分子として,OGFOD1(水酸化酵素)やその基質RPS23(リボソームタンパク質),PHD2(水酸化酵素)などが知られている。これらの遺伝子を取得,もしくは遺伝子を合成し,発現ベクターに導入,大腸菌での発現,タンパク質精製を行った。【3】HRIの立体構造解析については,継続して大腸菌発現系により発現・精製したタンパク質を用いてきたが,結晶は得られていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3つの具体的な研究テーマを平行して進めているため,個別の成果を発表するには至っていない。来年度以降,研究成果を学会発表,学術論文において発表できるよう努めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
【1】については,培養細胞にヒ素化合物を添加した際の変化について今後検討が必要である。 【2】申請時と比較して,OGFOD1の構造・機能について他のグループからの研究成果が報告されたため,研究計画に変更が生じた。今後,精製したタンパク質を用いた試験管内でのタンパク質間相互作用の解析を進めていく。 【3】HRIの立体構造解析については,昆虫細胞を用いた発現系の構築を行い,精製したタンパク質を用いた結晶化スクリーニングを計画している。
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Causes of Carryover |
学術論文発表の際に英文校正,印刷代として謝金・その他での使用を予定していた。今年度は発表には至らなかったため,計画通りに使用できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度の残額は,次年度の研究成果発表(学術論文発表,英文校正など)に使用したい。
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