2015 Fiscal Year Research-status Report
葉表皮の非破壊分光透過率計測に基づく植物の有害紫外線に対する影響評価
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26340054
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Research Institution | Kisarazu National College of Technology |
Principal Investigator |
福地 健一 木更津工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (00218942)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嘉数 祐子 (大野祐子) 木更津工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (30455117)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 植物葉 / 表皮の分光透過率 / UV-Bストレス / 蛍光スペクトル / 蛍光画像 / クロロフィル蛍光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,植物葉表皮の紫外領域における分光透過率の変化を,異なる励起波長で得られる蛍光スペクトルの変化に基づき,非破壊・非接触で評価する手法を新たに確立し,有害紫外線(UV-B)の植物影響を,葉の活性低下が起こる前に検出することを目的としている。本年度は,まず,キセノンランプ光源装置をパーソナルコンピュータで制御して,波長及び照射強度を自動制御できるシステムに改良した。 実験室内においてラッカセイ葉にUV-Bを照射し,波長300 nmから440 nmまでの多波長励起により蛍光スペクトル変化を測定すると同時に,320 nmの励起により葉表面の蛍光画像を撮影し,その蛍光分布の変化も調査した。 440 nmで励起した際のクロロフィル蛍光強度(F685)を基準として,各励起波長λにおけるF685の相対強度S(λ)を求め,S(λ)の変化から,葉上面表皮の相対分光透過率の変化率ΔRT(λ)を非破壊で見積ったところ,UV-B照射によって短波長領域のΔRT(λ)は大きく変化した。UV-B積算照射量(H)が1平米あたり約100 kJを超えると,Hの増加に対してΔRT(λ)は指数関数的に増加し,蛍光画像においては,主葉脈付近において,青色蛍光とクロロフィル蛍光が周囲より強く観察される斑点が出現した。特にクロロフィル蛍光の赤斑点は,Hの増加に伴って葉の周辺部にも広がった。モデルを立て検証した結果,ΔRT(λ)の増加と赤斑点の増加は密接に関連している可能性があることがわかった。また,440 nmで励起した場合,F685と緑色蛍光F530の強度比であるF685/F530は,UV-B照射直後よりHに比例して単調に減少することがわかった。 以上の現象は可視被害が発生する以前に観察されることから,本手法によって,生葉に対するUV-Bの影響を早期に検出し,その度合いを定量的に評価することが可能であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度までに,蛍光スペクトル変化に基づき植物葉表皮の分光透過率変化を非破壊で計測することに成功した。また,照射光源を自動制御化してラッカセイ葉に対するUV-B照射実験を行った結果,表皮の分光透過率変化から,UV-B影響の早期検出と定量的評価が可能であることを示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度夏より実施している,約30種類の樹木葉に対する表皮の分光透過率計測を当初の実験計画通りに継続して実施し,その季節変化(平成27年度夏,秋,冬,平成28年度春)を詳細に分析する。
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Causes of Carryover |
公表論文投稿料の請求が2016年3月であったため,見積額と実支払額の差額が発生したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
成果発表のための旅費及びキセノンランプ光源の交換費用として支出する予定である。
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Research Products
(1 results)