2014 Fiscal Year Research-status Report
アパタイト型化合物の結晶構造と表面特性を利用した非貴金属排ガス浄化触媒の開発
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26340056
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
加藤 純雄 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50233797)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 排ガス浄化 / アパタイト / 液相法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではアパタイト型化合物の結晶構造の特徴と固体塩基性による活性化機能を利用した排ガス浄化用触媒の調製を目的として、アパタイト型リン酸塩を基本物質とし構造内にCuなどの金属イオンを含む化合物の合成の検討を行う。本年度はアパタイト型リン酸塩の液相法での合成条件の検討を行った。出発原料として、アルカリ土類金属の酢酸塩とアルカリ金属リン酸塩を用いた。これらの水溶液に水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム水溶液を加えることでpHの調整を行い、アパタイト型A10(PO4)6(OH)2の沈殿を調製した。熟成温度、時間、pHおよび沈殿洗浄条件を検討した結果、特にA=Baの場合にアパタイトの単一相を得るためには洗浄溶液としてアンモニア水溶液を用いることが有効であることを明らかにした。Cuを含むアパタイト型リン酸塩は上記の方法で調製したA10(PO4)6(OH)2を用いて合成を試みた。X線回折法を用いた得られた化合物の格子定数の測定結果より、A=Ca, SrおよびBaのいずれの場合にもCuイオンを結晶格子内に含むアパタイト型リン酸塩が得られることを確認した。また、調製時のCu量の増加に伴い格子定数が増加したことから、格子中のCu量を調整することが可能であることを示した。また、X線光電子分光法によるCuの化学状態の評価を行った結果、A=Ca, SrおよびBaのいずれの場合にもCuはCu+およびCu2+として存在し、Cu+がより多く含まれることを明らかにした。以上、非貴金属系排ガス浄化触媒の候補材料となるCuを含むアパタイト型リン酸塩の調製条件が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究ではアパタイト型化合物の結晶構造の特徴と固体塩基性による活性化機能を利用した排ガス浄化用触媒の調製を目的として、本年度はアパタイト型リン酸塩の構造内にCuを含む化合物の液相法での合成条件の検討を行った。その結果、従来固相反応法で合成されていたアパタイト型構造内にCuを含む化合物を、成分元素の水溶液を出発原料として用いる新たな方法で合成できることを明らかにできた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に得られた成果を踏まえ、アパタイト型構造内にCuを含む化合物の熱的安定性、酸化還元特性などの評価を行う。さらに、排ガス浄化に関わる基本的な反応に対する触媒活性の評価を行う。また、得られた化合物の結晶構造、構造内におけるCuの化学状態をX線回折法、X線光電子分光法などで詳細に解析し、諸特性および触媒活性との関連を検討する。
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Causes of Carryover |
備品として導入予定であった、分析機器用データ処理装置の購入を代替品の利用により行わなかったこと、および目的化合物の合成実験を当初予定より重点的に行ったため、触媒活性評価に用いる標準ガス等の消耗品費が予定より少なくなったことにより次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用分に関しては、アパタイト型化合物の調製用反応器、また得られた試料の分析に使用する機器用備品等の購入に充当する。また、消耗品として化学試薬、触媒活性評価用の標準ガスを購入する。
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