2015 Fiscal Year Research-status Report
超音波周波数の最適化と気液界面反応を応用した難分解性有機汚染物質の高効率分解手法
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26340057
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
関口 和彦 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (50312921)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 超音波分解 / 超音波霧化 / 短波長紫外光 / 過フッ素化化合物 / 揮発性有機化合物(VOC) / 分解率・無機化率 / 分解生成物 / 促進酸化手法(AOP) |
Outline of Annual Research Achievements |
実施した研究概要 本年度は、昨年度の液相系に引き続き、様々な促進酸化手法(AOP)を用いた反応活性ミストを生成させ、気相系における揮発性有機化合物(VOC)ガスの分解率を評価した。また、除去率だけでなく、生成した分解生成物のミストへの取り込み、さらに分解生成物の分解挙動についても、水中濃度を連続的に測定することで評価した。
得られた成果 AOPと超音波霧化技術の併用により、ミスト上でOH・が生成されるため、疎水性VOCガスであってもミストの気液界面で効果的に反応し、分解できることを見出した。本系において、UV254/O3/H2O2/mist条件を用いた際には、分解に寄与するOH・は十分量存在していることが確認され、トルエン除去率はOH・との接触効率に依存することが示唆された。これより、反応器の構造(UVランプ、超音波振動子の位置、反応器の大きさなど)を見直すことで、より効果的な空気浄化手法へと応用できる可能性があり、次年度以降、サイクロン型反応器を用いこの効果を検証する。一方で、疎水性VOCガスの分解により生じる水溶性の分解中間生成物の分解挙動を調査した結果、分解中間生成物はすべてミスト中に捕捉されていることが確認され、さらに、溶液中に取り込まれた後に非常に速い速度で、分解、無機化(完全無害化)されていることも明らかとなった。これは、溶液中に取り込まれた分解中間生成物がさらに気相中に霧化され、気相中で連続的に分解、無機化されていることを示唆する結果であり、AOPと超音波霧化技術を併用した系は、従来の液相系よりも速い分解速度で完全無害化ができる効果的な空気浄化手法になり得る可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度計画では、様々な促進酸化手法(AOP)を用いた反応活性ミストを生成させ、気相系における揮発性有機化合物(VOC)ガスの分解率ならびにその無機化率(完全分解)の評価となっており、概ねその通り遂行できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は当初の計画通り、実際の実用化を踏まえた系としてUV 光源周辺に汚染物質やミストを効率的に濃縮できるサイクロン型反応器を用い、難分解性汚染物質の分解挙動に加え、ナノ粒子を含む粒子状物質についての除去効率を評価する。また、これまでは液相分解と霧化に異なる2種類の周波数を用いてきたが、周波数の一体化による効率化についても検討する。最終的にこれまでの成果を踏まえ、気相、液相、粒子状物質に対応した新たな空気浄化手法して本系の有効性と適用限界を評価し、報告書を取りまとめる。
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Research Products
(12 results)