2014 Fiscal Year Research-status Report
複合系微生物群の制御によるバイオフィルム・バイオファウリング抑制技術の開発
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26340068
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
池田 宰 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40151295)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | バイオフィルム / バイオファウリング / 複合共生微生物 / Quorum Sensing / Quorum Quenching / アシル化ホモセリンラクトン |
Outline of Annual Research Achievements |
バイオフィルム形成抑制、バイオファウリング抑制技術の開発を本研究課題の目的としているが、バイオフィルム形成やバイオファウリングと微生物間コミュニケーションであるQuorum Sensingとの関連性が明らかになってきているため、Quorum Sensing制御をターゲットとして複合共生微生物群におけるQuorum Sensing機能を有する、または、Quorum Sensing抑制(Quorum Quenching)能を有する細菌種の探索を進めた。種々のバイオフィルム試料内の複合共生微生物群を解析したところ、グラム陰性細菌におけるQuorum Sensingシグナル物質であるアシル化ホモセリンラクトン(AHL)を合成する細菌を取得することに成功した。その中で代表的なAeromonas属細菌は、主にN-butyryl homoserinelactone(C4-HSL)とN-hexanoyl homoserine lactone (C6-HSL)を生産することを明らかとした。一方、同じ試料からAHLを分解する細菌の取得にも成功した。取得したAHL分解細菌であるAcinetobacter属細菌について、その分解機構を解析した結果、AHLのアミド結合を切断して分解するAHLアシラーゼ活性を有することが明らかとなった。以上の結果から、バイオフィルム内の複合微生物群において、AHLの合成と分解が共存していること、すなわち、Quorum SensingとQuorumQuenchingの共存が示唆された。また、バイオフィルム形成細菌のQuorum Sensingを阻害することでバイオフィルム形成阻害を行えることから、AHL分解細菌を用い、Quorum Quenching能を強化することでバイオフィルム形成阻害を実現できる可能性が高く示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
バイオフィルムからQuorum Sensingを行う細菌と、Quorum Quenching能を有する細菌の取得に成功し、それぞれの機能解析を行うことにも成功した。この成果により、複合共生微生物群における複雑な微生物間コミュニケーションの存在が明らかとなり、Quorum Sensing制御によりバイオフィルム形成制御が行える可能性が強く示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に得られた成果をもとにして、Quorum Quenching能を有する細菌を利用して、バイオフォルム形成制御へ向けた実験を進める。細菌そのものを利用する手法と、AHL分解酵素を用いる手法など、複数の手法を検討する。また、Quorum Quenching能を発揮する添加物を利用する方法も併せて検討を進める。さらに、AHL以外の物質で利用可能、関連性のある物資の探索を行う。
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