2015 Fiscal Year Research-status Report
超高回収・高選択的レアメタル捕集材料を用いた都市鉱山完全リサイクルシステムの開発
Project/Area Number |
26340075
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
永井 大介 群馬大学, 大学院理工学府, 助教 (30375323)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | レアメタル / 捕集 / メラミンシアヌレート / パラジウムイオン |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに、トリチオシアヌル酸とメラミンの水素結合を介した集合体形成をレアメタル捕集に利用したところ、使用したトリチオシアヌル酸とメラミン合わせて1gに対して、1.25g パラジウムを捕集できる超高回収自己集合体の開発に成功した。今年度は高選択的捕集材料の開発を目的に、メラミンシアヌレートのPdイオン吸着挙動を検討した。メラミンシアヌレートによる金属吸着は従来の高分子吸着材と比較して、単一の配位官能基(メラミンのイミン窒素)を有するため吸着選択性が高くなることが予想される。また、単位重量あたりの配位サイトの割合が高いことから吸着量が多く、分子運動性の高さから吸着速度も速くなり高効率な金属吸着材料としての応用が期待できる。 本研究では、6種類の金属混合溶液中で金属吸着選択性を検討した。Pd(II), Mn(II), Co(II), Ni(II), Cu(II)がそれぞれ10ppmとなるように混合水溶液を調整し、吸着実験を行った。メラミンシアヌレートを混合水溶液中で20時間撹拌したところ、Pd(II)を選択的かつ高収率(100%)で吸着できることが分かった。メラミンシアヌレートがPd(II)を選択的に吸着できたのは、金属イオンの配位サイトであるメラミンの第3級アミンがソフトなルイス塩基であり、親和性の高いソフトなルイス酸であるPd(II)が選択的に吸着できたものと考えられる。 また、メラミンシアヌレートを用いたPd(II)吸着におけるリサイクル性を検討した。3回リサイクル実験を行った結果、高い吸着率を維持し(90%以上)、ほぼ100%のPdをメラミンシアヌレートから脱着できた。従って、メラミンシアヌレートはリサイクル可能な高効率吸着材料として有効であることが示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的である都市鉱山サンプルの完全回収から、第一に、超高回収量捕集自己集合体により白金族元素を回収した後、第二に、高選択的捕集材料により回収する。平成26年度では超回収量捕集自己集合体を開発し、平成27年度では高選択的捕集材料の開発を成功したことから、順調に進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成27年度では、レアメタルを高選択的に吸着する自己集合体の開発に成功した。例えば、パラジウム吸着において、他の金属(Mn(II), Co((II), Ni(II), Cu(II))との混合溶液で選択的かつ高収率で吸着することに成功した。そこで、平成26年度に開発した高回収量自己集合体と合わせて、都市鉱山サンプルからのレアメタル段階的捕集を検討する。第一に、白金族を高選択的かつ簡便に分離できる高選択性自己集合体により回収する。第二に、段階的に金属種選択範囲が広くなる超高回収量自己集合体を用いて白金族以外のレアメタルの回収を行う。
|
Research Products
(3 results)