2015 Fiscal Year Research-status Report
消化ガス精製用標的分子捕捉型複合吸着剤の開発とガス分離濃縮システムへの応用
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26340077
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
松本 明彦 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90239088)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 吸着 / 活性炭 / ゼオライト / シロキサン / 硫化水素 / 二酸化炭素 |
Outline of Annual Research Achievements |
下水汚泥の発酵で生ずる消化ガス(バイオガス)中のメタンを利用するには,バイオガス中のメタン以外の不純物成分の除去が必要である。本研究では,メタン以外の各不純物分子それぞれの除去に最適な多孔性吸着剤を開発し,それを複合化することで「標的分子補足型複合吸着剤」の開発を目指している。27年度は,26年度において着手した硫化水素(H2S)を選択的かつ多量に吸着する遷移金属酸化物高分散型活性炭(AC-MO)の吸着能の最適化を目的として,条件を変えて調製したAC-MOについて流通法吸着によってH2S吸着能を調べた。また,ゼオライトへのMO担持ではなく遷移金属イオン交換による吸着能の発現を調べた。さらに,バイオガス中の微量不純物であるシロキサンを有効に吸着除去する物質として,活性炭,ゼオライト系吸着剤に着目して利用の可能性の検討を始めた。シロキサンは,他の消化ガス不純物と比較して蒸気圧が極めて低く常温で液体であるため,まず専用の流通法吸着装置を新規に作成した。その上で,この装置を用いてシロキサン蒸気の吸着測定を行った。 H2S吸着性とAC-MOの担持量の相関を調べたが,調べた担持量の範囲では顕著な吸着性の違いは認められなかった。ゼオライトのナトリウムイオンを遷移金属イオンに交換してもH2S吸着性は改善されなかった。シロキサンの吸着除去に関しては,活性炭および表面を化学的に修飾した活性炭がゼオライトと比較して高い吸着性を示した。表面の化学構造を適宜制御することにより活性炭はシロキサンの吸着剤として有望であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
26年度導入を予定していたシロキサン定量用のキャピラリカラムの導入が27年度にずれ込んだため,計画どおりに研究が進捗するか案じていたが,流通法吸着装置が完成してからは,問題なくデータも得られ,順調に進展している。バイオガスモデルとしてメタン/二酸化炭素混合ガスを用いる予定であったが,現在の標的吸着物質の吸着能を調べる段階では,予めメタンの代わりに窒素を用いてもく吸着能に大きな影響がないことを確認したうえで窒素を用いて良好な結果を得ている。27年度では二酸化炭素,硫化水素,シロキサンの予定していたすべてのバイオガスの不純物の吸着実験に着手し,探索的に実験を開始することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ひきつづき二酸化炭素,硫化水素,シロキサンのそれぞれ代表的なバイオガス不純物に対する吸着剤の最適化を行う。これまで用いた系列の試料をベースに適宜合成を追加してについて系統的に並行して進める。また,有効な吸着剤を複合した「標的分子捕捉型複合吸着剤」を作成して,流通法装置を用いて性能を評価する。
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