2016 Fiscal Year Annual Research Report
Clarification of the circulation and accumulation of radiocesium in the wood stem in forest trees
Project/Area Number |
26340083
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
飯塚 和也 宇都宮大学, 農学部, 教授 (20344898)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 放射性セシウム / カリウム / スギ / 循環と蓄積 / 事故5年後の影響 |
Outline of Annual Research Achievements |
「森林性木本植物の樹幹内における放射性セシウムの循環と蓄積実態の解明」を目的とした本研究における福島原発事故5年後の主な研究実績の概要は以下のとおりである。 林齢33年のスギを対象に、調査林分0.13haで伐採された外見上健全なスギ80個体を対象に、立木位置図を作製し、地上高0.2m部位の円盤を採取した。また、6個体(平均樹高17.2m)について、0.2m、1.2m、3.2m、5.2m、7.2mおよび9.2m部位から円盤、さらに当年伸長成長幹とその枝葉を採取した。 心材の137Cs濃度は、辺材のそれと比べ、平均で2倍の値を示した。心材と辺材の137Cs濃度の比の高い値の個体グル-プと低い値のグル-プを各10個体選定し、計20個体において、カリウム含有量の心材と辺材の比との間に有意な正の相関が認められた。この結果から、137Csの辺材から心材への移行は、カリウム含有量の心材と辺材の比に影響されていることが示唆された。 樹幹内の137Cs濃度分布について、辺材は0.2mから9.2m部位の間の濃度がほぼ一定で、大きなばらつきは見られなかった。サンプリング部位における辺材幅はほぼ一定であり、137Cs濃度がほぼ均一で平衡状態になっていることが推察された。さらに、1.2m部位と当年伸長成長部位との間に有意な正の相関が認められた。このため、辺材部では137Csは樹幹主軸方向の循環に関与していることが示唆された。 一方、心材では、0.2m部位を除き、サンプリング部位において面積比による心材率と137Cs濃度との間に有意な負の相関が認められた。樹高別の部位における137Cs濃度は、心材面積に影響されて、辺材と異なり均一な濃度を示さないという結果が得られた。このため、心材部では137Csは樹幹主軸方向の循環にほとんど関与しておらず、貯留あるいは蓄積している可能性が推察された。
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