2015 Fiscal Year Research-status Report
参加協働による広域的生物分布モニタリング促進のためのフレームワーク構築
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26340090
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
鎌田 磨人 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (40304547)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 参加協働 / 市民科学 / 生物分布 / 生物多様性 / 生態系保全 / 施策 |
Outline of Annual Research Achievements |
参加協働型モニタリング(CBM)による成果の施策反映への道筋や、ソーシャル・キャピタルを高めるための道筋を明らかにするために、研究方針を以下のように拡大して実施した。 1.徳島県全域といった広域レベルだけでなく、小エリアでの調査に求められる位置精度や情報精度を検討するため、里山緑地や河川区間内での生物分布調査を試行した。両者とも位置確認のためにドローン空撮によって得た高解像度空中写真を基図に用いた。そして、前者についてはGPS、GPS付きカメラ・スマホを用いて調査を行い、有効性を検討した。その結果、このスケールでの調査にはスマホのGPS精度は十分ではなく、システム上で任意に位置補正できる仕組みを導入しておく必要があることが確認された。 2.里山緑地については京都市内に、河川区間については沖縄県金武町を対象地とした。前者は市民団体と研究者がコアとなり、後者はマングローブを利用したエコツアーを提供している観光事業者と研究者がコアとなって行政をまきこみ、そして、協働モニタリングに基づく施策反映へのプラットフォームとして、自然資本の維持管理のための協議会が設置されている。また、徳島では市民団体の呼びかけによって県行政、国土交通省、NEXCO等からなる実行委員会を形成した上で特定外来植物のナルトサワギクの分布調査を、スマホシステムを用いて行った。そして、その成果のもとに、一斉駆除活動を徳島県とともに行った。これらの結果から、施策に反映させるためには、当初から協働調査のマネジメント事務局に行政担当者を加えておく必要があること、また、目標生物が資源化されている場合はそれがインセンティブとなって、ソーシャル・キャピタルの向上につながることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、比較対象地としての沖縄県金武町および京都市宝ヶ池、そして徳島県でのヒアリングおよび参与観察調査を継続しつつ、それら地域で協働調査を行って比較検討のための材料を得ることを主な目標としていた。比較を通して明らかにしようとしているのは、参加協働調査における合意形成→調査設計→実施・検証の過程に係るステークホルダーの社会的役割と施策反映への道筋、そして、調査に係る種や空間スケールの適切な選択のあり方である。 「研究実績の概要」で述べたとおり、これら目標に到達するための調査を実施し、詳細スケールでの調査にはスマホのGPS精度は十分ではなく、システム上で任意に位置補正できる仕組みを導入しておく必要があること、また、施策に反映させるためには、当初から協働調査のマネジメント事務局に行政担当者を加えておく必要があること、また、目標生物が資源化されている場合はそれがインセンティブとなって、ソーシャル・キャピタルの向上につながること等、本年度の目標に対して十分な成果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度にあたる平成28年度は、徳島県、沖縄県金武町、京都市宝ヶ池でのヒアリングおよび参与観察調査を継続しつつ、調査に係る種や空間スケールの適切な選択のあり方をまとめる。そして、それぞれのターゲット種・空間に対する参加型協働調査の成果を実行委員会や協議会で共有し、課題解決・環境改善のための具体のアクションをステークホルダー間で検討し、社会実装を図る。 これらをとおして、参加型協働調査を地域課題の解決のための施策や具体のアクションにおとしこんでいくための道筋をパターン化し、シンポジウム等を通じて成果を共有する。
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Research Products
(2 results)