2015 Fiscal Year Research-status Report
太陽エネルギーによりCO2からアルカン系燃料を高生産する細菌の開発
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26340102
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
寺本 真紀 高知大学, 教育研究部総合科学系複合領域科学部門, 准教授 (60545234)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 再生可能エネルギー / バイオテクノロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
鎖状飽和炭化水素であるアルカンは原油の主成分で、理想的な原油系燃料である。本研究の目的は、CO2を原料に太陽エネルギーを用いてアルカン系炭化水素を高生産できる細菌株を開発することである。そのためにはアルカン系炭化水素を高生産させることができる遺伝子を取得する必要がある。申請者は、アルカン系炭化水素を菌体あたりで高生産する新規細菌の取得に成功しており、この新規細菌からアルカン系炭化水素を高生産できるこれまでにない遺伝子が得られると考えた。
昨年度、申請者のアルカン系炭化水素高生産菌のもつ炭化水素高生産遺伝子を取得するために、この菌のゲノムの塩基配列をほぼ全長決定したが、既知の炭化水素生産遺伝子と相似性の高い遺伝子は見出せず、有力な候補遺伝子を絞ることは難しかった。本年度、申請者の菌の生産するアルカン系炭化水素の構造を明らかにした。この構造から合成反応を推定し、この反応と類似の反応をおこなう酵素とその遺伝子情報から、有力な候補遺伝子群を特定した。そしてこの候補遺伝子群を大腸菌で発現させることで、これらが炭化水素を高生産する遺伝子であることを確認した。この遺伝子群は、隣接した2つの遺伝子からなり、それぞれの機能も生産物の解析から推定できた。またこの遺伝子群のすぐ上流のDNA領域に炭化水素の生産を抑える作用があることも明らかにした。この領域の欠失により、炭化水素の生産量が細胞当たりで5-9倍増加した。さらに、これら遺伝子群の下流のDNA領域には細胞の増殖を遅くする作用があることが示唆された。このように今年度、炭化水素を高生産させるDNA領域を特定できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の遅れを取り戻し、研究の進行度がほぼ計画通りに追いついたため。
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Strategy for Future Research Activity |
特定できた炭化水素を高生産させるDNA領域をもちいて、最初の計画通りに進める。
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Causes of Carryover |
既存の試薬・消耗品を併用できたこと、取得した遺伝子の特許化を考えており学会発表を控えたこと、連携研究者先への出張が先延ばしになったこと、また学内で回ってきた予算などで費用がまかなえたことも理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越した予算で、研究を計画通りにすすめ、特許化のあと、論文発表と同時に学会発表もおこないたいと考えている。
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Research Products
(1 results)