2014 Fiscal Year Research-status Report
視覚障害児童のための絵本開発と手作り絵本による脳力開発
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26350001
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
和田 直人 山形大学, 教育文化学部, 教授 (70240554)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 視覚障害児童 / ユニバーサルデザイン絵本 / インタフェース / 手作り絵本 / 脳力開発 / 手先の巧緻性教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は本事業の1年目にあたり、視覚障害児童の絵本への関わりについての調査と国内外で発表・出版されているユニバーサルデザイン絵本の動向を調査した。また、ユニバーサル絵本の普及活動にも目を向け、その社会的効果とさらなる活動の可能性の在処を探り、関東、関西、北陸などの関連施設(こども図書館や視覚障害センターなど)を訪問し、データ収集を行った。各地域で視覚障害の子どものための絵本収集や公開が試みられているが、まだまだ充実した質、量に達しているとは言いがたい現状が見えてきた。点字絵本、さわる絵本、布の絵本、音声付き絵本、香る絵本、認知特性に配慮した絵本などさまざまな手段によって工夫された絵本が存在するが、対象となる視覚障害の子どもたちが少ない割にコストがかかるため、出版・流通・販売において大きな障壁が生まれているのが現状である。今年度行った調査によって、どんな子どもでも楽しめるユニバーサル絵本開発の急務を確信した。 また、並行して行っている手作り絵本の創造性開発の研究であるが、子どもたちが手で絵本を作る楽しみを通して、思考力、独創性、自主性、分析力などの大切な脳力(ものづくり力)をいかに伸ばすことができるのか、手作り絵本ワークショップを通して考察を行ったが、次年度以降も引き続きその効果について考察を深めていく予定である。手先の巧緻性による脳への影響は明らかであり、これら手作り絵本の創造性開発のさまざまな効果について、現在、出版社と企画立案中で、次年度以降に1冊の本として出版する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内のユニバーサルデザイン絵本に携わる関係団体や視覚障害者施設を訪問し、視覚障害者に対するさまざまな工夫点や問題点を知ることができた。また、ユニバーサルデザイン絵本普及団体関係者とも連携がとれ、次年度の絵本開発への実質的な足がかりを作ることができた。 絵本の表現方法についてこれまで考察してきた成果を『絵本講座シリーズ第1巻・絵本の表現』(朝倉書店)の共著者の1人として出版することができた。また、ユニバーサル絵本開発と並行して研究の柱としている手作り絵本の脳力開発に関しても、出版社と企画を進めており、編者として1冊の本にまとめるべく、現在、原稿を取り纏めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もユニバーサルデザイン絵本の動向調査を継続しながら、実際に必要とされている絵本の開発を試みる。また、ユニバーサルデザイン絵本の普及に努めている方の協力を得て、編者としてまとめている1冊の出版予定の本のなかで紹介していただき、ユニバーサル絵本の普及活動をより多くの人々に認知してもらえるよう試みる。 手作り絵本に関する本を編集し、その魅力と脳へ影響を及ぼす手先の巧緻性教育の重要性についてまとめ、ものづくりから生まれる子どもたちの創造性開発への糸口を探りながら、1冊の本を出版する。
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Causes of Carryover |
当初、予定していた人件費が必要とならなかったため、若干の残額ができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
残額がごく小額なため、消耗品購入費として物品費に使用する。
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Research Products
(1 results)