2016 Fiscal Year Research-status Report
視覚障害児童のための絵本開発と手作り絵本による脳力開発
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26350001
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
和田 直人 日本女子大学, 家政学部, 教授 (70240554)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 視覚障害児童 / ユニバーサルデザイン絵本 / インタフェース / 手作り絵本 / 脳力開発 / 手先の巧緻性教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は本事業の最終年度にあたる3年目であるが、昨年度までに行った調査・研究データを基に視覚障害者が求める絵本はどのような媒体の可能性があるのかをさらに深めて考察していった。昨年度までの検証で得た手法、つまり材料や素材を考慮しながら、触覚的な表現性を絵本に盛り込みながら制作し、メディア・アートで頻繁に用いられるインタラクティブな双方性芸術や対話型芸術の要素を作品に加えて表現した。視覚障害者だけでなく、多くの人々が楽しめるユニバーサルデザインとしての絵本のあり方についてさらに突き詰めて制作を行った。検証した作品は、全国美術公募展覧会である第66回モダンアート展に『蜃気楼(Blind picture books)』として出品し、数多くの方々にご覧いただき好評を博したところである。この作品は、4月に東京都美術館、6月に愛知県美術館、7月に京都市美術館にて巡回展示となり、三都市で研究成果を公表することができた。 手作り絵本の創造的な魅力について、多分野のさまざまな方々に執筆を依頼をして、1冊の本にまとめようとした『手作り絵本SMILE』であるが、編集作業に時間を要してしまい、平成28年度出版予定であったが、未だ出版できていない。今後、精力的に編集作業をすすめ、平成29年度中に出版できるよう編集部と作業を進めているところである。 絵本とアートの関わりについて、11月に国際的に著名な絵本作家を招いた国際シンポジウムのシンポジストとして登壇した。ポーランドやリトアニアを代表する国際的絵本作家スタシス・エイドリゲーヴィチュス氏を招いた国際シンポジウムにおいて、スタシス氏による手作りの絵本の創作的魅力について、独自の視点からシンポジストとして意見を述べ反響を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
事業2年目までの成果をもとにしながら、ユニバーサルデザイン絵本の表現的な可能性についてさらに探求を行い、全国美術公募展覧会に出品し、三都市の多くの方々に研究成果を公表することができた。作り手と受け手の双方が作品と関わり、コミュニケーションが生まれる絵本という媒体の奥行きの深さについて、ユニバーサルデザイン絵本の視点から問いかけることができたことは、順調に研究が進められた点として挙げられる。 職場異動という研究環境の大きな変化があったため、平成28年度出版予定としていた『手作り絵本SMILE』の出版が大幅に遅れている。今後は編集作業に力を注ぎ、手作り絵本の創造的な意義についてまとめた本事業の集大成となるこの本を平成29年度に出版したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年は、山形から東京へ職場が変わったため、研究環境の整備に時間を要してしまい、本事業に集中することが難しかった。ようやく研究環境も落ち着いたので、集中して本事業の残された課題に取り組みたいと考えている。 今後もユニバーサルデザイン絵本の試作を重ね、あらゆる人々が楽しめる新たな作品を制作して、再び全国美術公募展覧会に出品し、全国の多くの方々に研究成果を公表したいと考えている。 手作り絵本の創造的な魅力について取り纏めた『手作り絵本SMILE』の出版に向けて、編集作業を精力的に進め、本事業の研究成果のまとめとして平成29年度中に完成(出版)させる予定でいる。
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Causes of Carryover |
研究機関の異動に伴い、研究環境整備に時間を要し、本事業に費やす時間が制限されたため助成金の使用も少額となった。本事業の研究期間を1年延長して、残りの助成金を有効に使用しながら本事業の研究成果をまとめたい。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
残りの物品費はユニバーサル絵本の制作費用として、旅費は各地区での展覧会展示のための費用として、人件費は成果発表の取りまとめ作業の費用として、最終年度に向けて有効に使用する。
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Research Products
(4 results)