2016 Fiscal Year Research-status Report
ソーシャルメディアを活用した緑景観の時空間分析とデザイン支援に関する研究
Project/Area Number |
26350026
|
Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉川 眞 大阪工業大学, 工学部, 教授 (80116128)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 一成 大阪工業大学, 工学部, 教授 (10330789)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 環境デザイン / 緑景観 / 時空間分析 / ソーシャルメディア / Exif情報 / 地理空間情報 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、これまで収集されてきた投稿写真(撮影位置と撮影画像)と、3D都市モデルや現地調査から構築された樹木データベースを用いて、まず、対象としての緑景観(シーン景観)に着目した分析とデザイン支援を行った。東大寺エリアでは、写真撮影ポイントの集積結果から、大仏殿の西側回廊から視点場付近の緑と大仏殿をともに撮影した構図で、年間をとおして多く撮影されている。また、桜の開花、新緑、紅葉、落葉が緑景観に変化を与えていることもわかった。一方、興福寺エリアでは、緑を含む写真の中でも興福寺五重塔が被写体となっている写真を対象に、撮影日時だけでなく撮影方向や焦点距離といった撮影諸元を示すExif情報を用いて分析した結果、とくに緑が五重塔の背景として撮影された写真に特性を見出した。 次に、東大寺と興福寺において実際の観光ルートから眺められる緑景観(シークエンス景観)を把握するために、対象エリアで10枚以上の写真を撮影している観光客の撮影位置と撮影時刻をもとに、観光客個々の観光ルートを抽出し、それらの重なりから主要な観光ルートを特定した。さらに、シークエンス景観における分析とデザイン支援の端緒として、東大寺と興福寺のメインルート上から眺められる緑を3D都市モデルを用いて画像として抽出し、緑にかかわる画素数の割合から緑視率を算出し、緑の見え方の変化を把握した。 なお、当初、研究対象地とするも、これまで着手してこなかった京都の嵐山・嵯峨野エリアにおいても、奈良公園エリアと同じくソーシャルメディアを活用した手法を適用し、かつ撮影ポイントの集積についてホットスポット分析を行うことでシーン景観の典型を得るとともに、緑の季節変化についての分析とデザイン支援を行ってその有効性を確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
奈良公園エリアにおいて収集された投稿写真と、3D都市モデルや現地調査から構築された樹木データベースを用いて、予定どおりに緑のシーン景観とシークエンス景観についてそれぞれ時空間分析を行った。さらに、当初、研究対象地とするも、これまで着手してこなかった京都の嵐山・嵯峨野エリアにおいても、奈良公園エリアと同じくソーシャルメディアを活用した手法を適用し、シーン景観の典型を得るとともに、緑の季節変化についての分析とデザイン支援を行ってその有効性を確認した。しかしながら、シークエンス景観では、分析とデザイン支援が試行レベルに留まっている。また、平成28年度は、このようなこれまでの経緯をトータルに取り纏めて論文化する予定であったが、個々の成果を発表するだけに留まっている。今後、最終的に全体としての取り纏めと成果発表を行う必要がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
奈良公園エリアにおいて、すでに得られているデータを用いて試行レベルにあるシークエンス景観について、より詳細な分析とデザイン支援へ展開することにしている。また、その成果が得られ次第、学術論文として全体を取り纏める予定である。
|
Causes of Carryover |
平成28年度は、これまで得られたデータをもとに予定どおり奈良公園エリアにおける緑景観のシークエンスについて分析に取り掛かり、3D都市モデルを用いた画像解析により緑視率のシークエンスのよる変化などは見出した。しかしながら、緒についたばかりであるため、より詳細な分析とデザイン支援へ向けてデータ整理と方法論の構築が必要である。また、これまでの経緯全体をまとめ論文化の予定であったが、このような事情から最終的に全体を取り纏め論文化する作業も残されている。したがって、データ整理と最終的な取り纏め、ならびに成果発表にかかる経費が未使用となっている。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
これまでの研究経緯の全体を取り纏め、構築したデータベースを精査・整理するとともに、論文化を行い最終的な成果を発表する。未使用額は、この発表にかかる経費にあてることとしたい。
|
Research Products
(11 results)