2017 Fiscal Year Annual Research Report
Determinants of childbearing motivation for Japanese married women
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26350041
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
中村 真由美 富山大学, 経済学部, 准教授 (30401269)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 出生意欲 / 社会学 / ジェンダー / childbearing motivation / 出生 / 少子化 / 規範意識 / 生死の自己決定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「出生意欲」に着目し、その規定要因と形成過程を明らかにすることにある。子どもを持つかどうかは、出生意欲に影響を受けるとされるが、出生意欲の規定要因や形成過程については国内の研究では十分に明らかにされてこなかった。そこで今年度は、新たな調査(25~35歳で、子供数0~1人の既婚女性2000人を対象としたWEBモニター調査)を実施し、成長過程や現在の体験(成長過程における子供との接触体験、親子関係等)や、他の意識項目(伝統主義、中絶や安楽死等の「生死」の自己決定に関する意識)と出生意欲との関連を検証した。結果としては、家族関係は出生意欲に有意に影響していた。「父や母が子育てを楽しんでいた」、「愛情深かった」と感じている者は自身も出生意欲が高い。「成長過程における年下の子供との接触経験」も、特にそれが楽しめる物である場合には、有意に出生意欲を高めていた。また、きょうだい数が多い者は、自身も子供を3人以上希望する傾向があった。親が子育てを楽しめる環境にすることや、子供が成長過程で幼い子供と楽しく接触する機会を設けることが――つまり、幼い子供と一緒に過ごす時間の楽しさを体験することが――、子供が大人になってからの出生意欲を高めると考えられる。また、出生意欲は生死の自己決定に関わる意識や、伝統主義とも結びついており、生死に対する自己決定を肯定する者や、伝統の継続に懐疑的な者は出生意欲が低い。生や死を自己コントロールすることを肯定することや、伝統主義に対して懐疑を持つことは悪いことではなく、教育程度の高さとも結びついている。生死に対する自己決定を肯定すること、伝統主義を否定すること、出生意欲が低いことを一概に否定するのではなく、子育ての楽しさが子供に伝えられるように、親の子育て環境や、子供の育つ環境を整えることが重要である。
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Research Products
(1 results)