2016 Fiscal Year Research-status Report
戦後における「へき地教育」と小学校家庭科の展開:「鹿内瑞子旧蔵資料」をもとに
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26350049
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
八幡 彩子 (谷口彩子) 熊本大学, 教育学部, 教授 (90259763)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 小学校家庭科 / 鹿内瑞子 / 鹿内瑞子旧蔵資料 / へき地教育 / 家政学史 |
Outline of Annual Research Achievements |
「鹿内瑞子旧蔵資料」を特徴づける「へき地教育関連資料」については、すでに、『複式学級家庭科学習指導計画例』(1965)の刊行に至る経緯については検討済みであるが、へき地における学習指導の実態については十分な検討を行っていない。そこで、昭和20~40年代のへき地教育と複式学級における小学校家庭科の学習指導の実態に関する資料を検討した結果、以下の点が明らかになった。 1.「鹿内瑞子旧蔵資料」に含まれる最も包括的なへき地の実態を示す資料は、『わが国のへき地教育』(文部省、昭和36(1961)年11月刊)(資料No.988)である。この資料には、昭和36(1961)年頃のへき地学校の概況(学校数、学校規模、複式学級、児童生徒数、教師数、へき地学校の分布)、へき地学校の教師の状況、へき地教育関係予算額の推移、複式学級学習指導形態に関する教科別の実態等について報告されている。しかし、小学校家庭科の学習指導形態については、「無反応」(N.A)が53.4%を占め、調査結果に課題が残されている。 2.昭和34(1959)年の「へき地教育指導者講座」の参加者を対象に実施したとみられる21枚のアンケート(資料No.62)によれば、家庭科の学習指導の形態として、「単式」8校、「複式」12校(学年ごとに別題材3校、同題材で学年による差を考慮するもの2校、同題材で1年目と2年目が異なるもの1校)となっている。 3.このほかに、同アンケートによれば、家庭科の授業担当者の確保に関する課題(担任以外の女性教員が担当することの課題など)、施設・設備の不足や実習予算の確保の問題、小学校家庭科の教科書刊行の要望、保護者や地域との関係性をめぐる課題などがあったことが把握できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2016年度は、3回の研究発表を行うなど、研究の進捗状況はまずまずであったと考える。 しかし、2016年度に新たに担当することになった学内業務が予想以上に多忙をきわめ、研究遂行のための時間を確保できなかったことと、2016年4月の熊本地震の発生により、自宅の修理、保管資料の整理・確認等、事前に想定していなかった対応に迫られた状況もあり、予定していた研究成果を論文等にまとめるところにまで至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は予定していた研究を推進するため、大学内外における管理・運営や社会貢献にかかわる業務を削減し、効率化を図りい。本研究に費やす時間(エフォート)を確保することにより、研究成果を論文・報告書等にとりまとめたい。
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Causes of Carryover |
学内業務と熊本地震の発生により、事前に想定していなかった研究内外の対応を迫られ、当初予定していた論文執筆・投稿に関する経費(投稿料・掲載料等)・報告書印刷費の使用に至らず、次年度使用額が生じることになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
できるだけ早急に論文を執筆し、投稿(投稿料・掲載料)あるいはこれまでの研究の成果を報告書(報告書印刷費)にとりまとめ、次年度使用額を確実に執行することをめざしたい。
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