2015 Fiscal Year Research-status Report
父親の育児参加を促進する参加型教育プログラムの開発と効果検証のための一研究
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26350059
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Research Institution | Meiwa Gakuen Junior College |
Principal Investigator |
天宮 陽子 明和学園短期大学, その他部局等, 准教授 (10645964)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
音山 若穂 群馬大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (40331300)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 保育・子育て / 対話型アプローチ / 男性の育児参加 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、父親や子育てに関心のある男性を中心として平成26年度に立ち上げたプロジェクト組織(パパトーク)をスタッフに加え、親子で参加できるイベント(親子フェスティバル)を計画、開催した。男性が主体となって父親も含め親子で楽しめるイベントを企画、立案、実施する一連の活動プロセスを通して、男性の子育て参加に対する意識の向上と、子育てに関わる男性相互の支援的人間関係の形成を意図したものであった。イベントは研究代表者が主宰するボランティア団体と、前橋市生活課男女共同参画センターと共催で行ない、短大生や高校生などもスタッフに加わった。活動内容の詳細および事後アンケートの結果は天宮ら(2016)が示した。参加者の感想は好評であるとともに、父親達の活躍する姿を見てそのパワーに驚いたという学生・生徒の感想も得られ、父親の子育てに対する受け止め方にも変容が伺われた。プロジェクト組織のメンバーは本研究の開始以降、支援を受ける立場として子育てに関する議論を重ねてきたが、今回のプロジェクト体験を通して他の家庭への支援をする立場を経験した。その経験は今後自らの子育ての振り返り、育児力の向上にも繋がるとともに、他の家庭との連携にも反映されるであろうことが示唆された。 一方、本年度は対話アプローチにおける評価指標の開発も行なった。対話法の一つであるワールドカフェを取り上げ、子ども会育成関係者対象の研修会と地域家庭教育セミナーの参加者412名を対象に、カフェを行った後の感想に関する20項目を調査した。その結果、総じて評価平均は高く、カフェの体験が全体として肯定的に評価されていることが示された。また、因子分析の結果では「自身の振り返り」、「他者との話題の共有」、「豊富な会話」、「会話時間の不足」および「自由でオープンな雰囲気」の5要因に分類することができ、対話の効果を多元的に評価しうる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対話を中心とする父親サポートプログラムの実践については、順調に活動を進めることができ、一定の成果が得られた。前年度から継続的に活動を進めたことで、父親や子育てに関心のある男性が主役となったプロジェクトの実践が可能となり、支援を受けるだけでなく他を支援する立場へと進展する可能性も示唆された。また、対話アプローチの評価指標の開発を行い、対話の効果を多元的に評価しうる可能性を示したことで、サポートプログラムの効果の検証にも一つの視点を提供することができたと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
対話を中心とする父親サポートプログラムについては、本年度までの実績を踏まえ、次年度も活動を進めて行く。プログラムの効果検証については、プロジェクトを継続して体験してきたパパトークのメンバーを対象としてインタビューを行ない、その内容を分析して個々の体験や変容過程を「物語」的に捉えるとともに、シンポジウム形式での討論を行ない、男性の育児参加をめぐるニーズや課題を追求することとしたい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、病休に伴い予算執行計画を変更したことによる。また海外調査も予定していたが、実施予定時期においてテロの危険や伝染病等が流行していたことも計画変更の理由にあげられる。尚、本年度においてもイベントの開催にあたり、講師をはじめとした多くの無償ボランティアの協力があり、そこに掛かる助成金も次年度使用額とした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は本研究事業の集大成としてイベントを2回開催する計画がある。次年度使用額については、このイベントを開催するにあたり必要な費用として、平成28年度の助成金と合わせて使用する予定である。
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