2014 Fiscal Year Research-status Report
LESと空中浮遊アレルゲン物質挙動解析に依拠した空気清浄機アシストデバイスの開発
Project/Area Number |
26350064
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
高橋 俊樹 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (10302457)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 室内環境 / ラージエディシミュレーション / 粒子挙動解析 / アレルゲン / GPGPU / 空気清浄機 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,我々の研究グループが開発したLES(Large Eddy Simulation)と空気中の微粒子挙動解析ソフトウェアであるCAMPASを用いたシミュレーション結果に依拠して,屋内に浮遊するスギ花粉などのアレルゲン物質を効率良く除去する空気清浄機アシストデバイスの開発を行うことである。空気清浄機の排気主流に含まれる有害微粒子が室内全域に拡散する前に天井設置型のアシストデバイスで捕集することによって,スギ花粉の場合30%程度の除去効率向上を見込める。平成26年度は,シロッコファンを利用してアシストデバイスを試作し,空気清浄機との連携運転を可能とした。スモークワイヤ法を用いた気流可視化実験の結果,空気清浄機からの排気主流がアシストデバイスへと導かれ,空中浮遊アレルゲン除去に有効であることは確認できた。一方で,渦流や剥離流の生成も観察され,安定な上昇気流生成の必要性も明らかになった。安定な上昇気流として本研究計画では,竜巻状の上昇気流を提案している。最初に排気主流側方からの補助的なフローを生成し流跡線を螺旋状にする試みがなされたが,剥離流の抑制には効果を示さないことがわかった。また,微粒子暴露実験室を自作し,疑似花粉として石松子を使用した暴露実験を行った。微粒子暴露実験室に空気清浄機を設置し運転させている空間に,点源から石松子をサーキュレーターにより飛散させ,落下した石松子の分布についてシミュレーションと実験を比較した。光学系へ一定流量で引き込んで粒子計数を行うパーティクルカウンターを用いたため,シミュレーション条件と異なる実験となり,よい一致を見ることができなかった。妥当性検証の実験方法については,次年度に改善する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度では,LESとアレルゲン挙動解析を行うソフトウェアCAMPASのGPGPU計算が可能となり,これまで半月程度かかっていた計算を,1日以内に終了できるよう計算時間短縮に成功した。その結果,アシストデバイスの流量や実験室のサイズなど,複数の計算条件での除去効率が評価できるようになり,明確な設計指針を打ち出せるようになった。これまでに,空気清浄機排気主流の流量よりもアシストデバイスの吸気流量が大きい時,排気主流内のアレルゲンを効率良く除去できることを明らかにした。第一号機としてのアシストデバイスの製作は完了し,生成気流の可視化や微粒子暴露実験なども準備が進められており,当初の計画で2年次に行う予定のアシストデバイス性能評価に向けて着実に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度の第1四半期で,竜巻状の上昇気流生成装置の開発に向けたGPGPU計算を行う。空気清浄機上方に設置したアシストデバイスの吸気流量や吸気部の形状によって,空気清浄機からアシストデバイスに向かう気流の構造を詳細に分析する。解析結果を受けて,第2号機としてのアシストデバイス設計及び製作を行う。また,10マイクロメートル以上の粒径の気中微粒子を計数できるパーティクルカウンターを購入し,石松子による暴露実験を実施し,アシストデバイスの性能評価を行う。また,平成26年度からの成果をまとめて,専門誌上で報告する。
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Research Products
(5 results)