2015 Fiscal Year Research-status Report
LESと空中浮遊アレルゲン物質挙動解析に依拠した空気清浄機アシストデバイスの開発
Project/Area Number |
26350064
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
高橋 俊樹 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (10302457)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 室内環境 / ラージエディシミュレーション / 粒子挙動解析 / アレルゲン / スギ花粉 / 上昇旋回気流 |
Outline of Annual Research Achievements |
空気清浄機の排気主流は天井に向かって上昇し,その後天井に沿うようにして室内全域に拡散する。この気流とともに浮遊アレルゲン物質も室内全域に飛散してしまう問題点を,群馬大学で開発した乱流及び微粒子挙動解析ソフトウェアCAMPASを用いて発見したことが,本研究の契機となっている。平成26年度の研究において,シロッコファンを用いてアシストデバイスの製作を行い,上昇気流生成と空中浮遊アレルゲン除去への有効性は確認できた。そこで平成27年度は,室内全域に旋回上昇気流を生成できる空気清浄システムの提案,ならびに浮遊アレルゲン除去への有効性を明らかにするための解析を行った。建築基準法やビル管理法では,不快と感じない室内気流は0.5[m/s]以下とされているが,提案の空気清浄システムを換気回数15[回/h]で運転する場合,おおむねこの条件を満足することがわかった。スギ花粉の除去効率を市販の空気清浄機と比較した結果,提案の空気清浄システムでは約1.65倍の向上が見られた。 家具配置の影響も調べた。四方の壁に設置する空気清浄システムの排気口位置によっては,家具の影響を受けやすくなるため,上昇旋回気流生成が妨げられる。しかしながら,排気口位置や排気角を調整することにより,家具を配置した室内で上昇旋回気流を生成することができた。また,家具を設置した場合の市販空気清浄機に対する提案手法の除去効率向上は,1.45倍に留まることが明らかになった。これは,旋回気流中を浮遊する花粉が,壁や家具に衝突するため,天井の吸気口まで導かれなかったことが原因であることがわかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成26年度中に,アシストデバイスの製作ならびに石松子による暴露実験,またパーティクルカウンターを用いた濃度測定と妥当性検証実験は完了しており,当初の計画を上回るスピードで研究を進展させている。平成27年度には,新たに上昇旋回気流による空気清浄システムを提案し,シミュレーションを実施した。このシミュレーションを実行できたのは,CAMPASを高性能GPGPU計算化できたことに起因している。また,粒径が10μm以上の気中浮遊粒子を5段階に同時選別できるパーティクルカウンターの導入により,妥当性検討実験も進展し,論文投稿準備を進めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
空気清浄機とアシストデバイスの連携運転による室内アレルゲン除去の高効率化に関する研究総括を行う。シミュレーションでは,特に旋回上昇気流に発生する渦流や剥離流が及ぼす粒子輸送効果への影響について,アレルゲンのサイズに応じて明確にする必要がある。このため,上昇気流に垂直な水平面における拡散係数を評価する。また,装置開発においては,マイコンを用いた気流制御技術導入の可能性についても検討する。 これまでに得られた成果について,6月末に札幌で開催される環境関連の国際会議ISEE-ISES AC2016にて2件の報告を行う予定である。また,これまでは国内の学会誌上でのみ報告を行ってきたが,H28年度中に海外の専門誌上への投稿も行う。
|
Research Products
(4 results)