2014 Fiscal Year Research-status Report
心と体の負担を考慮した植物生体電位による居住者の室内振る舞い推定システム
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26350066
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
南保 英孝 金沢大学, 電子情報学系, 准教授 (30322118)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 植物生体電位 / ふるまい認知 / 室内環境推定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、室内に配置された観葉植物などの生体電位の変動から、居住者の振る舞いや室内環境を推定することを目的としている。カメラやマイクなどを用いないため、居住者に対して心的負担を与えずに計測できる点が優れており、また植物自体の癒し効果も期待できる。本研究遂行のため、平成26年度は室内に配置された1つの植物の生体電位を計測し、室内で特定の行動をしている居住者と植物間の距離を推定する手法を構築した。具体的には、植物の周辺で足踏みを行い、その際の生体電位の変動を測定した。この測定を距離の変えながら多数計測し、距離と生体電位の変動データを大量に取得した。このデータを周波数解析し、一定の周波数以下の周波数特性を特徴量とし機械学習を行うことで、距離と生体電位の関係モデルを生成した。このモデルにより、1名の居住者の距離を推定可能となった。ただし、植物生体電位が行動から影響を受ける距離が限られていることもわかり、1つの植物で室内全体をカバーすることが困難であることも判明した。これらの成果は、以下の国際会議で報告した。 Xingyu JIN, H.Nambo, H.Kimura, “Recognition of the Distance between Plant and Human by Plant Bioelectric Potential”, The 15th Asia Pacific International Engineering and Management Systems Conference, p44 MB9-6, 2014.10. また、これまでは計測したデータを一旦蓄積し、バッチ処理的な手法で解析を行っていたが、計測システムを改良し、リアルタイムに計測ー推定を行うシステムを構築した。この改良により、実験にかかる手間を大幅に削減した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度の成果により、植物生体電位と距離の関係を学習しモデル化する手法が確立できた。現在は居住者が足踏み時を行っている時にのみ注目しており、他の振る舞いの際のモデル構築は実施できていない。今回確立した手法で、学習のために十分な量のデータを用意する必要があるが、他の振る舞いについても学習モデルを構築することは可能であると考えられる。一方、振る舞いと生体電位の関係については、計測システムの改良に時間を費やしてしまったため、多種の振る舞いに対する生体電位の計測が進んでいないため、データ不足によりいまだモデル構築には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
計測システムの改良により、計測そのものにかかる手間が減ったため、一旦様々なデータの収集に集中する。また、温湿度、CO2も同時に計測できるよう機材を準備したので、室内環境データと同時に計測することが可能になった。よって、様々なデータを同時に計測し、時間短縮をはかることで進捗の遅れを取り戻す予定である。その後、集めた人間の振る舞いによる植物生体電位の変動データを解析し、モデルの作成と27年度の計画である推定アルゴリズムの構築を行う。
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Causes of Carryover |
消耗品の購入の際、想定していた価格と実際に納入された金額が異なっていたため、計画との差異が生じた。また、残額以内で研究に必要な物品等がなかったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度の消耗品の購入の際に差額を利用する。
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