2014 Fiscal Year Research-status Report
トイレでの排泄行為時における温熱環境が人体に及ぼす生理的・心理的影響
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26350071
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
石井 仁 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (70321479)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | トイレ / 温熱環境 / 温熱心理 / 生理反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
人工気候室内に模擬トイレブースの作製を行った。寸法は住宅のトイレの標準寸法に測定機器を設置するゆとりを設けて幅1200×奥行1500mmとした。トイレブースは住宅のトイレをなるべく模すように壁は化粧合板仕上げ,床はフローリング仕上げ,扉は市販のトイレブース専用ドアとした。人工気候室の空調が天井吹出しのため天井は設けなかった。便器は市販の暖房便座機能付きの洋風便器を用いた。そして送風が可能な市販のスリムファンヒーターを設置した。 トイレブース内に温熱環境の測定機器を設置した後,夏期の環境条件を想定した被験者を用いた予備実験を実施した。温度条件を前室28℃一定,実験室28℃,35℃として送風の有無を組み合わせた4条件のもとで実験手順ならびに期間などの検討を行った。被験者の生理反応として皮膚温,血圧,脈拍を測定した。また心理反応として温冷感,接触温冷感,熱的快適感,熱的受容度,気流感を調査した。被験者として青年男子9名が参加した。 予備実験を実施して生じた問題点を改善して,冬期実験を実施した。実験条件は前室20℃一定,実験室20℃,10℃として温風の有無を組み合わせた計4条件で実施した。被験者の生理反応は夏期の予備実験の項目に心拍の測定を追加した。心理反応は予備実験と同じ調査項目とした。被験者は青年男女それぞれ10名程度を予定していたが都合が付かず男性8名,女性3名が参加した。 7月に開催された国際会議でこれまでのトイレの研究に関する成果を発表して実験実施に向けた情報収集ならびに意見交換および世界のトイレの研究に関する動向を調査した。この国際会議で得られた情報,意見を実験条件などの参考にした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は模擬トイレブースの製作,夏期の予備実験ならびに冬期の本実験が実施できたため,おおむね順調に進展していると判断できる。 ただし予備実験を実施した際に複数の実験条件を設定すると季節内に実験を終了させることはスケジュールの観点から困難であったため,夏期および冬期実験は単年度で終了できないことが分かった。そのため夏期の実験は次年度,次々年度にわたり実施する必要があり予定よりも終了時期が遅れることになる。 冬期実験で男女それぞれ10名程度の被験者を計画していたが達成できなかった。データ分析を行って明確な傾向が認められない場合は,冬期の追加実験を実施する必要があり,その場合は夏期同様に実験の終了時期が遅れることになる。
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Strategy for Future Research Activity |
模擬トイレブースの強度に多少問題があるため夏期の実験までに補強を行う。 冬期の本実験では被験者を計画していた人数まで集めることができなかったので次の夏期の実験では予定人数を確保できるよう幅広く募集を行う。今年度は謝金の支払い手続きが極めて非効率であったことが予定人数を確保できなった主な原因として考えられたので,現在実験を実施している機関に所属している連携研究者を共同研究者として追加することで被験者への謝金の支払いを効率化させる対策を行った。 冬期実験で得られたデータの分析を遅滞なく行い,その途中成果を学協会の年次大会などで発表して意見交換を行い今後の実験および成果公表に活用する。
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Causes of Carryover |
被験者が予定人数を集めることができなかったのが最大の理由としてあげられる。また模擬トイレブースの製作費用ならびに測定機器の購入費用が当初の計画より安価となったことも理由としてあげられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の実験の被験者謝金として使用する。次年度は模擬トイレブースを補強する予定でいるので,そのための物品費として使用する。予備実験,冬期実験のデータ分析を行ってトイレ環境の測定や生理反応の測定で項目に追加の必要が生じた場合は測定機器の購入に充てる。
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