2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26350079
|
Research Institution | Jissen Women's University |
Principal Investigator |
槇 究 実践女子大学, 生活科学部, 教授 (10276454)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 色彩 / 調和 / 好み / 評価 / 視線情報 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、これまでの実証的色彩調和論と比較して、色彩調和(配色の好み)をより高い精度で説明する予測式を作成すること、およびその知見をベースに、インテリア配色の好みを同程度に高い精度で説明する予測式を作成することを目的としている。 初年度に当たる平成26年度は、抽象的配色の好みの予測式作成を目指した。作成に当たっては、色彩の効果の変化を捉えることが必要だと考え、視線情報からシチュエーションをグルーピングするための予備的な実験を実施した。しかし、注視という現象が複数の意味を持つことが示唆される結果が得られたため、視線情報によるグルーピングを一旦棚上げし、評価の理由によりグルーピングするという方略に切り替えた。その結果、高い精度で予測することに可能性があることが明らかとなり、実験に用いた120サンプルの3色配色の好ましさを構成色3属性を用いて予測た結果、既往文献で提案されている式より高い精度を示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
配色の好みを、これまでの研究よりも高い精度で説明するための手掛かりが得られたため、おおむね順調に発展しているとも考えられる。しかし、それは当初予定していた視線情報を取り入れたものとはなっていない。視線情報の活用が課題となっているため、そのタスクが当初予定より増えた分を遅れと捉えることもできるため、「やや遅れている」との自己評価とした。この課題については、今年度継続して解析を実施していく。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は、以下の3点のテーマを定め、研究を推進していく予定である。 (1)視線情報の解析:前述のように、抽象的配色の場合、視線情報から配色の構成色の重要度を算出することは難しいと予備的な実験の結果から判断した。しかし、配色の理由を訊ねる評価実験においても視線情報を収集しており、その解析を実施することで、視線の滞留、移動、そのスピード等が表現する意味を整理して示す可能性は残されている。本年度は、その解析を実施することを考えている。 (2)評価の理由を媒介変数とした構成色3属性による配色の好みの表現:昨年度実施した実験では、サンプルは120サンプルに過ぎなかった。また、実際に利用できる予測式を作成するという立場から、身の回りに存在する配色を代表する配色をサンプルとしたが、それは配色の偏りを意味してもいる。本年度は、サンプル数を増やして予測式を適用できる範囲を拡大すると共に、システマティックな色選択を取り入れることにより、変数の変化が配色の好み評価に及ぼす影響が大きく変化する転換点を明確にしていく。 (3)インテリアの色彩調和判断と視線の関連についての予備的な調査:以前実施したインテリア模型の印象評価実験から、家具および床面を注視する傾向があるとの仮説を持っている。そのような視線の集中が見られるかどうかを、模型もしくは画像を用いた実験を実施し、予備的に調査する。
|
Causes of Carryover |
実験者への謝礼を抑制することができたため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験協力者への謝礼に使用する。
|