2015 Fiscal Year Research-status Report
嚥下状態にある液体食品の粘度を予測する簡易測定器による迅速評価システムの構築
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26350087
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉田 雅典 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70282994)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 食品 / 嚥下 / 非ニュートン性 |
Outline of Annual Research Achievements |
非ニュートン性試験液での解析 修正溝型流路内の非ニュートン性液の流れの実験的解析を行うにあたり,複数の溶質を,濃度を変えて混合した溶液の粘弾性を系統的に調べ,3種類の液を取り上げた.これらの液は粘弾性の相対的な大きさによりそれぞれ①弱い高分子ゲル,②真の高分子溶液,③希薄高分子溶液のように特徴付けられた.いずれの粘弾性液においても流動開始直後の傾向は,ニュートン性液を含めて共通であったが,その後の経過は液の粘弾性の相対的な大きさに依存して異なることを明らかにした.ある程度時間が経過した以降ではいずれの液も一定の挙動を示すと考えられた.
修正溝型流路測定器内液流れを記述する実験的関係の導出 得られた結果に基づき修正溝型流路内の液の流れを記述する一般的な関係の導出を試みた.流動開始後ある程度時間が経過した以降の液流れ特性は摩擦係数とレイノルズ数の関係として整理できた.しかし,流動時間が比較的短い期間での流れにおいてはニュートン性と非ニュートン性の相違すなわち弾性の影響が現れ,それを記述するためにはもうひとつのパラメータが必要であることが示唆された.解析において得られた,測定器内の試料に形成する剪断速度のレベルは比較的低く,嚥下状態に対して満足できるものではなかった.並行して行ってきた,流路を傾斜させることにより操作条件としての液流速を変えた場合の検討から流速の増加にともなう剪断速度の増加が見込めることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は,剪断速度のレベルを増加させるという問題において試行錯誤を余儀なくされた.一方で,いくつかの興味深い現象を見出すことができた.これらを考慮した追加的な実験を行い,データを補充するとともに本測定器による粘性評価法の検討を進める予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
修正溝型流路測定器による粘性評価法の検討と液体食品の粘性評価 粘性が未知である非ニュートン性液の粘度を4.の実験的関係により評価する本測定器に特有な方法を検討し,修正溝型流路粘性測定器による測定値を用いる新しい迅速評価法としてまとめる.整理するにあたっては液の流れに及ぼす弾性の影響が懸念される.弾性の影響が顕著であると判断される場合には,測定すべきレオロジーパラメータに緩和時間などを加えて再度実験を行い,デボラ数などを含めた解析,相関を試みる. 非ニュートン粘性を示す液体食品として嚥下困難者用増粘飲料を採り上げ,増粘剤濃度により粘性を変えた飲料の粘度と剪断速度を評価する.修正溝型流路測定器による粘度値と回転粘度計による値を同一の剪断速度条件下で比較することから本粘性評価システムの適用性,有効性を評価し,本研究で得られた新しいシステムの仕様を実際的適用に役立つ工学的資料として提示する.
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