2014 Fiscal Year Research-status Report
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26350088
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
坂井 信之 東北大学, 文学研究科, 准教授 (90369728)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 健二 東北学院大学, 教養学部, 教授 (20177439)
山中 祥子 池坊短期大学, 文化芸術学科, 准教授 (30580021)
長谷川 智子 大正大学, 人間学部, 教授 (40277786)
中村 真 宇都宮大学, 国際学部, 教授 (50231478)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | おいしさ / 食嗜好 / 食経験 / 表情 / 感情 / 潜在的態度 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の目標であった「生活者のおいしさの概念について心理学的手法および生理学的手法により明らかにする」という点については概ね良好に進められている。今年度の知見は、初年度であったため、投稿論文はなく、学会発表のみであったが、それでも一般生活者のおいしさの知覚が、モノ(食物)ベースではなく、人の心理ベースであることを示唆する結果を多く得ることができた。 坂井は消費者行動および官能評価に関する国際学会において、人の食物のおいしさ判断が種々の文脈によっていかようにも変化することを複数の実験を元に、報告した。議論の中で、モノベースではなく、人ベースの研究が必要であることについては同意を得ることができたが、どうやってそのギャップを調べ、埋めることができるかについてはさらなる議論が必要とされた。これらの点を明らかにすることが、本研究の次年度以降の課題でもあるため、本研究が達成されれば、国際的にも貢献できる知見を得ることができることが確信できた。 その他、中村は食事中の表情分析と感情との関係性について研究を進め、国際学会での発表および国内学会での発表をそれぞれ1件ずつおこなった。長谷川は子供の共食を自然な場面で観察した研究を国内学会で発表し、食嗜好が日常の食経験によって形成されることを調査法により明らかにした知見を国際学会で発表した。山中は潜在的な態度を計測するIATおよびAMPという手法により、飲料に対する潜在的な態度を計測した結果について国内学会において報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の予算で購入した唾液活動計測装置については、その操作法の習得とデータの収集に時間がかかり、ようやく学会発表ができるレベルの研究結果を得る段階になった。発表はまだできていないが、2015年度の学会で、新しい知見として発表できる見込みであり、そのデータを元に論文を執筆する目処もできている。また、オキシトシンの測定法についても習得し、基礎的なデータは取得できているため、来年度中の学会発表・論文作成は達成できる見込みである。 その他の目標については概ね達成できていると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
2014年度の実験結果に基づき、実験手法を整理し、多様な実験場面・文脈でのおいしさ評定実験をおこなう。また、実際の食経験が食嗜好に多大な影響を及ぼすことが明らかになったため、日常の食経験および食態度を測定する質問紙を併用した調査や実験を立案していく。
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Causes of Carryover |
今年度山中と坂井は旅費の執行がなかった。その理由は、山中は自宅近くの京都市内で開催された日本心理学会での発表であったためであることと、坂井は招待講演などで旅費が必要なかったためである。 また、長谷川の研究では、実験対象者に謝金を渡す予定であったのが、実験として昼食を提供することで、その昼食を以って謝金に代えることが可能であったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は今年度繰り越した旅費を合わせて、海外の学会参加の費用に充てること、今年度発表できなかった研究結果を、次年度に繰り越し、学会発表件数を予定より多く見積もることなどにより、繰り返した額を消費できる予定である。
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