2015 Fiscal Year Research-status Report
食料自給率向上のための高温障害米を活用した食品開発に関する研究
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26350092
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
筒井 和美 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (50435278)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 米 / 乳心白米 / 澱粉 / 高温障害 / パン |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、これまでの科学研究費若手研究(B)(21700744、23700883)の継続研究として、1. 高温障害米澱粉の調理特性、2. 市販米粉パンの調製について検討した。 1. 高温障害米澱粉の調理特性:(糊化)平成21年新潟県三条市産コシヒカリの食用米である完熟米(高温障害を受けていない米)、高温障害米(乳心白米)の2種類から澱粉を抽出し、熱分析(SII社製DSC6100)、膨潤度、簡易偏光顕微鏡観察(オリンパス製 CX41LF、DP26-CU)を行った。特に簡易偏光顕微鏡観察では、加熱温度の増加にともない高温障害米澱粉の結晶度は低下し、完熟米澱粉とは異なる傾向を示した。 (老化)熱分析(SII社製DSC6100)より、高温障害米澱粉の老化に及ぼす収穫年度の影響を調べた。 2. 市販米粉パンの調製:平成25年愛知県豊田市産米粉(大地の風)を用いて、米粉ドウの膨化に及ぼす加水量の影響を膨化実験(特注のメスシリンダー)、比容積(菜種法)、色調(コニカミノルタ製色彩色差計CR-5)、テクスチャー(山電製レオナーRE33005)より検討した。なお、米粉は実験直前まで業務用冷蔵庫(福島工業製ARD-120RM)にて保管し、試料の調製には申請の業務用ミキサー(キッチンエイド社製KSM7)を用いた。小麦グルテン無添加の場合、米粉重量に対する加水比率が160%の時、米粉ドウは最も膨化した (38℃)。加水比率160%の米粉パンは焼成後も膨化を維持したが、内部に大きな空洞が見られ、断面のクラム部の高さは低かった。今後は米粉ドウ調製のための前処理、添加物の影響を調べる等、検討を重ねる予定である。 本研究の成果は、平成28年度日本調理科学会全国大会にて発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高温障害米澱粉の調理特性について概ね成果が得られた。市販米粉パンの調製方法において、加水比率の影響について検討できたが、高温障害米の製パンにも応用できる手法を見い出す必要がある。高温障害米澱粉の開発については試料量の都合上、着手できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度(平成28年度)は主に市販米粉パンの調製方法の改良、高温障害米パンの製法の検討を行い、食料自給率の向上と高温障害米の活用化に貢献する。 1. 市販米粉パンの調製方法の改良:業務用ミキサー(キッチンエイド社製KSM7)を用いて愛知県産米粉パンを調製し、その膨化に及ぼす下処理や添加物の影響について調べる。前述と同様に、膨化実験(特注のメスシリンダー)、比容積(菜種法)、色調(コニカミノルタ製色彩色差計CR-5)、テクスチャー(山電製レオナーRE33005)等から検討し、比容積の大きい米粉パンの製造を目指す。 2. 高温障害米パンの製法の検討:1の手法に準じて高温障害米パンを製造し、その製法が最適であるか否かを検討する。比容積が小さい場合は、さらに製パン方法について改良を行う。 3. 高温障害米澱粉の開発:高温障害米澱粉の試料量を考慮の上、実験を進める。市販米粉と高温障害米の各澱粉を前処理し、糊化特性を熱分析(SII社製DSC6100)により検討する。 また、高温障害米の調理特性(糊化、老化)に関するデータ解析も進め、研究全体の総括を行う。
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