2014 Fiscal Year Research-status Report
炊飯時の玄米粒子内品質推定モデルの構築とその炊飯プロセスへの応用
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26350093
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
村井 正之 高知大学, 自然科学系, 教授 (00166240)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 俊夫 高知大学, 自然科学系, 教授 (60224812)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 玄米 / 炊飯 / 物性 |
Outline of Annual Research Achievements |
玄米は、糠層の厚みや粒子の硬さ、加熱炊飯された場合の膨張・軟化特性が品種や産地などでそれぞれ異なる。このため、熱・水分変化による玄米粒子の物性変化は玄米ごとに異なり、これが玄米の炊飯後の仕上がり品質に大きな影響を及ぼす。そこで、共同研究者とともに、玄米の炊飯にかかわる基本物性として、1)熱・水分膨張係数、2)比熱特性、3)吸水特性を知ることを目的として、1)ピクノメーター法による、加温時の玄米の体積変化、2)DSCを利用した昇温加熱時の玄米比熱特性、3)加水加熱時の玄米の吸水特性を測定した。 その結果、玄米の体積変化は、温度による膨張係数に比較し、加水による膨張係数が高いことが分かった。体積変化は含水率の二次関数、温度に対しては一次関数に近い、二次係数の小さな関数として表現できた。体積変化を、含水率と温度の二つの変数の関数として表現することを試み、数値フィッティングの手法により関数式の係数を求めた。含水率水準の異なる玄米について、その切片を気密容器に入れてDSCによる熱分析を行ったところ、玄米中のデンプンの熱変性による比熱変化曲線を得た。デンプンの熱変性時の吸熱ピーク曲線下の面積より熱変性エネルギー評価を行った。加温した温水中で玄米の吸水試験を行い、一定の経過時間ごとの含水率変化を測定したところ、玄米の含水率は時間に対して指数関数的に変化したことから、データのフィッティングによって吸水特性係数の算出を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
玄米の炊飯にかかわる内部物性の測定については計画どおり進んでいる。研究の第二ステージでは、予算規模縮小のため、当初予定していたTMAの入手が困難となったことから、別の手法によって代替測定することを試みている。この手法は、先端が非常に小さな、針状の金属を玄米断面に接触させた状態で玄米を加振する。玄米の断面の硬軟によって、針状金属の振動数が異なることから、加振周波数との周波数から間接的に玄米断面の硬軟にかかわる指標を得ようとするものである。原始的な手法であるが、走査プローブ顕微鏡と同じ原理にもとづく計測手法である。この手法での計測では、治具の調整が必要であるため、ロックインアンプを用いて計測試験を行い、調整中である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、現在調整中の針状走査プローブを利用した玄米断面の硬軟測定手法を確立し、周波数変化から求められる硬軟指数(仮)の算出を試みる。また、研究ステージⅢでの本格測定の準備として、顕微近赤外分光法を利用した炊飯玄米の品質評価を行う。加水・加熱過程にある玄米内部の水分分布を、近赤外スペクトルを利用して推定することを目標とする。
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Causes of Carryover |
実験上の消耗品が予定よりも少額で済んだことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度では、調整中の玄米断面の硬軟測定手法の治具消耗品が必要であるため、これに活用する。
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