2015 Fiscal Year Research-status Report
調理加工における振り塩及び酢〆の効果を評価可能にする新規計測システムの開発
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26350096
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
石川 匡子 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (80315598)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 調理と加工 / 調味料の作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本料理では、食品素材に下味をつける、身を引き締めることでうま味を閉じ込めるという調理技法があり、振り塩や酢〆はその代表的な手法である。これらは、食品表面上での塩の溶解および塩や食酢の食品内部への浸透により食品成分と相互作用を引き起こすと考えられるが、食材に対する最適な調理条件は経験に頼らざるを得ないのが現状である。そこで本研究では、食品加工において、最適な漬け上がり、塩分濃度、食酢濃度、加工条件を非破壊かつリアルタイムで測定できるようなシステムを開発し、生活習慣病予防の観点から減塩にも対応することを目的として研究を行った。27年度は、モデル食品として寒天ゲルおよび卵白ゲルを対象にし、実験を行った。寒天および卵白ゲル表面に有機酸溶液を添加した後、インピーダンス値を測定した結果、有機酸の濃度増加に伴い、インピーダンス値は低下した。さらに各ゲル中の有機酸濃度測定により、有機酸量にインピーダンス値は反比例することが確認出来た。このことから、本システムは有機酸の食品内部への浸透挙動計測に有効であることが示唆された。また、実際の酢〆調理技法に近い環境で調べるため、模式的に振り塩を行った状態に近い表面部のみに塩を含有させた寒天ゲルを作製し、有機酸添加後のインピーダンス値を測定した結果、ゲル上部から下部へ有機酸が浸透するに伴いインピーダンス値が一定になる時間を要することが確認された。さらにブロモクレゾールグリーンを混合した寒天ゲルを用いて、可視化により有機酸添加後の浸透挙動を観察したところ、インピーダンス値の変化と同様の挙動を示し、有機酸濃度はインピーダンス値の変化と相関性が高いことが分かった。以上の結果から、電気インピーダンス法によって食品中の有機酸浸透挙動ならびに塩蔵食品による有機酸浸透挙動が計測可能であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度内に目指していた、モデル食品上における塩と有機酸の浸透度合測定手法の確立は、寒天ゲルおよび卵白ゲルを対象とすることで達成された。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度は、実際の食品における塩および食酢からなる調味料の浸透度合を測定する。食品に塩を振りかけた場合や食酢で〆た場合には、浸透に伴い食品の味や内部構造(身の引き締まり具合、成分)に影響が及ぶと言われている。特に、食品成分は特定の無機成分や有機酸成分と相互作用を引き起こし、内部構造に大きく影響することも想定されるため、物性測定、成分分析を実施し、浸透度合との相関を求める。
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Causes of Carryover |
年度内に測定したサンプルは、寒天ゲルや卵白ゲルのような単純ゲルかつ味成分が有機酸や塩分のみであったため、味覚センサ膜への負担が軽く更新回数が予定よりも少なくてすんだことにより差額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
28年度は、食品を対象とすることから、味覚センサ膜へ対する負担は大きいと予想される。残金は、味覚センサ膜ならびに味測定溶液前処理試薬消耗品購入費に充てたい。また、実際の様々な食品を対象とした酢〆加工を想定してより応用性の高い電極の作製や、分析前処理用消耗品の購入へ当てる予定である。
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Research Products
(1 results)