2015 Fiscal Year Research-status Report
細胞中の水の制限拡散による野菜の加熱・凍結における細胞破壊の評価
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26350098
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Research Institution | Ishikawa Prefectural University |
Principal Investigator |
石田 信昭 石川県立大学, 生物資源環境学部, 教授 (20343816)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | NMR / 拡散測定 / 制限拡散 / 根菜類 / 凍結 / 軟化 |
Outline of Annual Research Achievements |
ジャガイモおよびサツマイモを用いて、平成26年度に確認したバイポーラ-パルスを用いたPGSTE法を用いたNMRによる制限拡散測定とあわせて顕微鏡による組織観察を行い、加熱凍結による細胞変化を検討した。60℃から100℃までの処理おける試料についてヨウ素を含む各種染色液で染色した切片の観察を行った結果、デンプンは糊化温度の60℃を超えた温度処理では徐々に膨潤が大きくなり、細胞いっぱいに膨潤する様子が捉えられた。-30℃で凍結後の試料では、組織内に氷結晶の生成によると思われる大きな隙間が多数認められ、これがNMR制限拡散において水の拡散が自由拡散に近づく大きな原因と考えられた。加熱による細胞変化においては、個々の細胞の細胞壁の連なりは余り大きな変化が認められなかったが、加熱温度が高くなると細胞内の染色が抜けるところが多くなり、細胞膜の破壊により内容物の流出が生じていることが示唆された。これが加熱時の水の自由拡散につながっていくものと考えられた。60℃から100℃の加熱と-10℃、-30℃の凍結の組み合わせで加熱後の組織の軟化を抑制できる条件を検討したが、これまで検討した根菜類では軟化の抑制は難しかった。 根菜から切り出した大きさ3cmx3cmx1cmの試料を用いて、凍結時の内部の温度変化を測定し、冷凍庫内での凍結温度と凍結完了時間を調べると、0℃から-5℃で凍結が始まり、凍結が完了するまでには-30℃の冷凍庫でも1時間近くかかっていることがわかった。プログラム恒温槽を用いて凍結完了までの時間を短くすること検討したところ、根菜類で軟化を抑制することができる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
顕微鏡撮影画像を用い、加熱凍結時の組織変化とNMR拡散測定の結果とを見ることにより、NMRを用いた水の拡散変化を組織破壊と結びつけて理解することができた。軟化抑制の方法として、凍結前の加熱だけでは限界があることがわかったが、凍結の方法を改良することにより軟化を抑制できる可能性が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
実験計画に沿ってNMR,MRI,顕微鏡観察を組み合わせて、凍結時の野菜(根菜)の組織変化を評価する手法を確立するとともに、プログラム恒温槽を用いた凍結法を改良して組織軟化を抑制できる凍結法を検討する。
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Research Products
(1 results)