2014 Fiscal Year Research-status Report
大量分画法による減塩・減糖効果を持つ食品添加用の新規抗酸化ペプチドの調製
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26350099
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
朴 恩榮 京都府立大学, 生命環境科学研究科(系), 講師 (50405239)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ペプチド / 大量分画法 / 抗酸化 / 乳化安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は,食品モデル中で高い抗酸化性および乳化安定性を持つペプチド画分を調製することを目的として実験を行なった。そのために、分画法として試料の両性担体としての性質を利用した大量分画が可能である自己等電点電気泳動装置(Autofocusing)を用いて分画を行った。この分画法は水のみを溶媒に用いるため、食品に添加しうる分画物を調製できた。またAmberchromeを用いた調製用逆相クロマトグラフィーも用いて分画を行った。これらの分画法により植物性・動物性タンパク質酵素分解物を等電点および極性に基づいて分画できた。得られた画分を凍結乾燥後、粉末試料として実験に用いた。これらの分画物を用い食品モデル中での乳化安定性・抗酸化性を評価・検討した。乳化系食品モデルを調製するために、コーン油と各ペプチド画分、10 mMリン酸緩衝液(pH 7.0)を添加し、コーンオイルエマルションを調製した。得られたエマルション中の粒子分布、油滴の平均粒径、目視での観測によってペプチド画分の乳化安定性を評価した。また、各ペプチド画分を用いエマルション中での酸化抑制効果についてTBARS法により過酸化脂質を定量した。いずれの出発材料からでも疎水性の高い画分の乳化安定性が高かった。大豆タンパク質酵素分解物の疎水性画分では高濃度より低濃度で比較的安定なエマルションが形成できた。また、抗酸化性についても分画前と比べて分画後のペプチド画分の添加により、脂質の酸化が抑制された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
出発材料として植物性および動物性食品タンパク質酵素分解物を用い食品に応用可能な大量分画法により、等電点と疎水性の異なる画分を調製できた。得られたペプチド画分を用いて乳化系モデルを作成し、乳化安定性および抗酸化性を評価し、乳化安定性と抗酸化性をもつペプチド画分を調製できた事から、ほぼ当初の計画通りに研究は遂行できていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の結果から得られた乳化安定性および抗酸化性を持つペプチド画分を用い、これら画分の抗酸化活性メカニズムについて検討する。具体的には、DPPHラジカル消去能・ヒドロキシラジカル消去能・ORAC活性等を測定する。そして、いずれの活性が食品中での抗酸化能と相関するかを明らかにすることで食品中での抗酸化メカニズムを明らかにする。さらに食品中の脂質酸化について検出を行い、ペプチド画分がどの酸化過程を抑制しているかを明らかにする。さらに、活性画分中のペプチドをHPLCにより分画し、前述の結果に基づいた試験管内アッセイにより活性ペプチドの同定を試みる。
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Causes of Carryover |
本研究における次年度使用額が生じた理由は、旅費・人件費・謝金の支出額が当初予定していた額より少額であったためである。この額は27年度に必要な旅費に充てる予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実績報告書に記載した繰越金は,学会活動で積極的に情報収集および研究成果報告のために使用し、学会で得られた情報は研究計画に反映し、また、研究成果を発表し、社会への浸透を図る。
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