2015 Fiscal Year Research-status Report
運動類似効果をもたらす新規機能成分の解析と食品への利用に向けての基礎研究
Project/Area Number |
26350109
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
草野 由理 中部大学, 応用生物学部, 准教授 (90432252)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 植物ステロール / 骨格筋 / 脂質代謝 / 細胞増殖・細胞分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請研究は、イモ類由来の植物ステロールの新規機能性、特に骨格筋に与える生理作用を明らかにしようとするものである。昨年度は、骨格筋の培養細胞を用いて、このステロールがエネルギー代謝系を亢進すること、また運動時に分泌されるサイトカイン分泌を誘導する活性があることを明らかにしてきた。本年度はこれらの結果に基づき、動物個体における解析を行った。その結果、ステロールを含む高脂質食を6週間摂取させたラットでは骨格筋量が増加し、体脂肪量が低下していることが明らかになった。またこの結果は、既に高脂質食を摂取したラットに、4週間ステロール添加食を摂取させた場合でも同じであることが明らかになった。これらの結果から、このステロールには骨格筋におけるエネルギー代謝系を亢進し、体脂肪を低下する作用があるだけでなく、骨格筋量を増加する活性も持ち合わせていることが明らかになり、その作用はすでに高脂質食を摂取した場合でも有効であると考えられた。 さらに本年度は、これらの動物実験の結果の中でも骨格筋量の亢進に着目し、その作用機序の解明に着手した。未分化のマウス筋芽細胞株C2C12細胞を、このステロール存在下で培養した場合、細胞増殖の抑制が認められた。一方で、このステロールには骨格筋細胞の細胞分化に関わる遺伝子の発現レベルを変化する活性があることを明らかにした。これらの結果は、このイモ類由来のステロールは骨格筋細胞の細胞増殖ではなく、細胞分化を亢進する作用をもつことを示しており、この作用により、ラットの骨格筋量増加を誘導したのではないかと考えられた。今後はさらなる作用機構の解明を進めていきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、昨年度着手するべく動物実験を行い、結果を得ることができた。さらにその結果にかかわる作用機序の解析にも着手でき、おおむね順調に進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の結果から新たな生理作用があることが明らかになったため、今後はその点にも考慮した研究の遂行が必要と考えている。これまでの研究計画に追加する形で研究を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
得られた研究結果から当初予定していた研究計画を少し変更した。そのため購入予定であった機器を購入しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
購入予定であった機器は次年度購入し、研究を進める予定。
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