2016 Fiscal Year Research-status Report
運動類似効果をもたらす新規機能成分の解析と食品への利用に向けての基礎研究
Project/Area Number |
26350109
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
草野 由理 中部大学, 応用生物学部, 准教授 (90432252)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 植物ステロール / 骨格筋 / 脂質代謝 / 細胞分化 / 細胞融合 / エネルギー代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請研究は、イモ類に含まれる植物ステロールの新規機能性を明らかにしようとするものである。これまでに、ラットを用いた動物実験の結果、この植物ステロールには血清HDLコレステロール濃度を上げる作用があること、また脂肪の蓄積抑制作用があることを見出している。さらに本研究において、この作用が、既に高コレステロール食を摂取している場合にも有効であることを見出してきた(Kusano Y, et al J Nutr Sci Vitaminol. 62(5):350-360 (2016))。あらかじめ4週間、高コレステロール摂取ラットに本ステロール添加食を摂取させた場合、血清コレステロール組成の改善が認められ、肝臓等の組織レベルでの脂肪の蓄積が低減することを明らかにした。特に骨格筋においては脂肪含量が低下しており、本組織での脂肪利用の亢進を示唆する結果を得てきた。 このような骨格筋に対する作用において、その作用機序を明らかにするために、骨格筋の培養細胞を用いた実験を行った。骨格筋細胞は細胞融合し、多核の筋管細胞へと細胞分化するが、本ステロールは、筋管細胞に細胞分化した骨格筋細胞のエネルギー代謝系を亢進する活性を示す結果が得られた。さらに、本ステロールは、その細胞融合に関わる分子の発現レベルを変化することを見出し、筋管細胞への細胞分化の誘導を亢進することを見出した。以上の結果を受け、本年度は、骨格筋細胞に対する本ステロールがもつ作用機構をさらに明らかにしていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度、申請時の内容に加え、新たな知見が得られた。その内容は申請研究を遂行するために極めて有効なものと考えられたため、本年度はその解析を優先して行った。そのため、当初の予定より遅れているため進捗状況としては「やや遅れている」としたが、新規事項の解析による遅延であり、申請研究内容としては充実したものとなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度得られた新たな知見に関して、本年度行ってきた解析結果をふまえ、当初の研究計画に加えた形で進めていく予定である。そのため、申請時の研究計画を大きく変更することなく遂行できると考えている。本年度までに個体レベル、培養細胞レベルでの解析が終わったため、今年度はその作用機構の解析を進めるとともに、調理加工にるよ影響を考慮し、構造類似物質を用いた解析にも着手する予定である。
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Causes of Carryover |
論文投稿の時期が遅れているため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度、論文投稿料として使用する予定。
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