2015 Fiscal Year Research-status Report
冷凍流通食品の低温細菌汚染と不適切な温度管理に伴う危害食中毒菌の増殖
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26350111
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Research Institution | Shikoku University |
Principal Investigator |
岡崎 貴世 四国大学, 生活科学部, 教授 (10227738)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 食品衛生 / 食中毒 / 低温細菌 / 低温流通食品 / 微生物制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
「冷凍流通食品」は流通のために冷凍された食品で、食品衛生法で規定された「冷凍食品」のような保存基準や微生物規格基準がなく、微生物学的な衛生状態について不明なものも多い。そこで冷凍流通食品の細菌汚染状況を調査し、食品を汚染する危害食中毒菌の制御方法を確立することを目的に研究を行う。 平成26年度(本研究の初年度)に、冷凍流通食品試料(冷凍食品試料を含む)から低温細菌9株を分離、同定した。分離菌の増殖特性、食品の品質劣化に及ぼす影響を測定した。 平成27年度は、得られたデータをもとに汚染菌5株(Pseudomonas、Listeria、Staphylococcus、Chryseobacterium等)を選択し、食品流通時の不適切な温度管理によって食品の「部分的解凍や再凍結」が起こった場合の汚染菌の増殖特性を明らかにした。汚染菌の増殖は食品の大きさ・厚さ、途中解凍時間、菌の増殖至適温度と密接に関連し、途中解凍が起こった場合、低温増殖菌(至適温度10℃)は他の細菌(至適温度25~35℃)の1.5~1.7倍の増殖速度を示すことを明らかにした。これらの菌の制御法として、食中毒予防3原則に則り、初発汚染度の低減、解凍時の温度制御、食品保存料による増殖抑制を検討した。食品保存料は、ソルビン酸カリウムと安息香酸ナトリウムではほとんど増殖抑制効果は認められなかったが、ナイシンは分離菌5株中3株に対して増殖抑制作用(31.3~250ppm)および殺菌作用を示すことがわかった。一方、有機酸やグリシンなどの日持ち向上剤では汚染菌の増殖を抑制する効果は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は、低温流通食品汚染菌の制御方法を検討し、基礎的なデータを得た。予定通り研究が進んでいるため、研究達成度は、おおむね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
食品流通の段階で不適切な温度管理による「部分的解凍や再凍結」が起こった場合を想定し、食品から分離した汚染菌の食品中における挙動を明らかにした。平成28年度は、食中毒菌であるリステリア菌とエルシニア菌の制御方法を検討する。
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Causes of Carryover |
モデル食品用試料の代金が予定よりも安価であったため、差額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に用いる実験試料(モデル食品)の調製費に充てる予定である。
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