2016 Fiscal Year Research-status Report
Development of the chlorophyll nano-particles which are stable for light and its application to the food
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26350112
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Research Institution | Nishikyushu University |
Principal Investigator |
安田 みどり 西九州大学, 健康栄養学部, 教授 (20279368)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田端 正明 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 客員研究員 (40039285)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | クロロフィル / 光退色 / 界面活性剤 / 凝集 |
Outline of Annual Research Achievements |
最近の健康ブームで、緑茶、野菜のジュースやスムージーなどが人気であるが、緑色の色素であるクロロフィルは光により退色しやすいため、食品業界では大きな問題となっている。これまでの研究により、非イオン性の界面活性剤であるTriton X-100(以下、Triton)が、クロロフィルの光退色を防止することが明らかになった。これは、Tritonが限界ミセル濃度(cmc)以下のときに有効であったが、このときのクロロフィル凝集体の粒子径が約100 nmと小さく、自己凝集体を形成することで光のダメージを防いでいることがわかった。 そこで、今年度は食品に応用するため、食品として安全な食品添加物を用い、クロロフィルの退色防止を試みた。食品添加物としては、大豆由来のサポニン、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、酵素分解レシチン等26種類であった。これらについて、まずは、水に溶解するかについて調べた結果、酵素分解レシチン1種類、ショ糖脂肪酸エステル4種類が溶解した。これらの5種類について、クロロフィルを溶解したところ、モノエステル型でHLB値が約19の親水性の高いショ糖脂肪酸エステル1種類が溶解することがわかった。このときのcmcは、約0.05%であったことから、この濃度付近でのクロロフィル溶液を調製し、光照射試験を行ったところ、cmcよりも低い0.03%以下の濃度でクロロフィルの退色を防ぐことが明らかになった。この結果は、これまでできなかった安定な緑色の緑茶や野菜ジュースの開発に活かせる成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、食品へ応用するため、クロロフィルの光退色の抑制作用を示すような食品添加物の探索を行った。その結果、多くの食品添加物中から、1種類の食品添加物がクロロフィルの光退色を防止することがわかった。しかしながら、なぜ退色効果を示したのか、そのメカニズムまでは解明することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、クロロフィルの光退色防止効果を示した食品添加物が、なぜ退色効果を示すのかを調べるため、クロロフィル凝集体の形成の有無、凝集体の性質、凝集体を形成する場合の粒子サイズ等を調べる予定である。さらに、実際に緑茶に食品添加物を入れることにより、光退色を示すのかについても検討する予定である。
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Causes of Carryover |
当初の予定よりも研究が遅れたため、物品費や旅費が予定よりも少なかったり、人件費・謝金を使用する必要がなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、補助事業の延長を認めていただいたこともあり、最終年度としてきちんとしたデータを取り、成果をまとめる予定である。そのための物品費や成果報告のための出張費、論文投稿のための費用等に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)